京王相模原線には踏切がゼロとなっている。調布~橋本間には1か所もない。道路とはすべて立体交差となっていて、新幹線のような環境となっている。
京王電鉄としては、新宿~京王八王子または高尾山口までのほとんどの区間に踏切が設置されている。幹線道路とも平面交差しているところも少なくない。
さらに、電車の運行本数もかなり多いことから、ほとんどの時間は閉まっている「開かずの踏切」が地域の問題となっているのも否定できない。
近年は連続立体交差事業が計画されていて、一部ではすでに整備されている。将来的には、少なくとも調布駅以東の部分では完全に連続立体交差化されることが予定されている。
京王相模原線はどうして連続立体交差化ができた?
京王相模原線にもかつては踏切が存在していた。調布~京王多摩川間に平面交差の箇所が存在していたものの、2013年の調布駅付近の地下化によって消滅した。
連続立体交差事業を進めたことで、線路が地下へ移ったため、地上の道路と線路が交差することがなくなった。
踏切での待ち時間がなくなったことで、これまで分断されていた地域が統合し、人や物の往来が簡単に流れるようになったのは確かだろう。
京王多摩川~橋本間では、初めからすべて連続立体交差となっていた。この点に疑問を感じるかもしれない。
この区間に踏切がない理由は、建設された時期は比較的新しいからである。京王相模原線が本格的に開業したのは1970年代~1990年代初めにかけての時期である。
多摩ニュータウンへのアクセス網として建設された。高度経済成長期だった頃、首都圏の郊外の住宅地として大規模に開発されたのが多摩丘陵の一体である。
宅地化が始まった頃はまだ鉄道路線がまったくなかった。既存の路線では駅から遠くなるという欠点があった。そこで、新しい路線の建設が進み、京王相模原線はそのうちの1つとなった。
建設された1970年代はすでに踏切を設けないことが法律で定められていた。だからこそ、連続立体交差の状態がはじめから保たれたわけである。
これは、同じ時期に建設された小田急多摩線や東急田園都市線にも当てはまる。いずれも、踏切は路線内には1つもない。
踏切がないことで、人身事故が起きる頻度も他と比べて少ない。京王線が人身事故で運転見合わせになることは多いが、踏切事故はあくまでも本線区間でしか起こらない。
直通運転を行っている相模原線にもダイヤの乱れの影響は出てしまうものの、それでも単独で見れば確率はかなり小さい。