JR京葉線の最高速度は時速100キロメートルとなっているが、これは他の近郊路線よ比べて遅い水準である。どうしてあまりスピードを出す線路ではないのか。その理由に迫る。
この路線が全線開業したのは国鉄が民営化された後の1990年である。したがって、京葉線は比較的新しい路線なのである。
しかし、新設された鉄道であるのにも関わらず、認められている最高速度は古くからある路線と変わらない。
どうしてスピードが遅い?
京葉線はもともと総武線のバイパス路線として計画されたものである。以前から総武線では慢性的な混雑がひどく、輸送力が限界に達していた。
そこで新たな路線として海岸部を走る新路線が建設されたのだ。当初は貨物線として計画されていたが、旅客化の必要性が大きかったため、今のような形となった。
一方で速達の役割は総武線快速の役目となっていた。たとえば、成田空港への速達列車である成田エクスプレスは総武快速線を走る。
既に早く都心から千葉方面に行く手段が以前からできていたことや、東京から千葉までの距離がそれほど長くはない点から、京葉線には速達の能力は求められていなかったのである。
また、京葉線の運行本数は首都圏の郊外へと伸びる路線の中でも多い。東京駅発の場合だと、日中であっても1時間当たり10~12本の列車が運行されている。
高密度での運転が行われていることも、列車が定速になる要因となっている。
さらに、かつては京葉線では103系という旧式の車両で運行されていた。この103系の最高速度は100km/hであったため、それ以上最高速度を引き上げることが難しかったという歴史を持っている。
今は、JR化後に登場した209系や、最新のE233系による運転が行われているが、以前の名残はまだ残っている。
なお、現在でも京葉線経由で東京駅まで直通運転している武蔵野線においては、国鉄時代の車両である205系が使われている。
こちらの205系についても、営業運転最高速度は時速100キロメートルとなっている。
武蔵野線内の最高速度は時速95キロとなっているが、京葉線内では時速100キロを区間によっては出す。
しかし、それ以上は車両の性能上出すことができない。公式の最高スピードもこうした車両やダイヤに合わせた形となっている。
直通先の内房線・外房線は?
一部の京葉線内からの電車は内房線や外房線に直通運転を行う。主に快速と通勤快速がメインであるが、最高速度に関して直通先では110km/hとなっている。
京葉線の東京~蘇我までの間の区間では最速100キロまでしか出さないが、同じ車両であっても外房線と内房線の線路に入ればそれなりのスピードを出す。
特急列車については、最速120キロメートルまで出す。蘇我より先の区間では、列車本数も少なく、線路容量にも十分な余裕がある。
また、線形も比較的穏やかなため、控訴訓点しやすい環境となっているのも事実である。