大阪市営地下鉄御堂筋線における今後のホームドア設置はほとんど予定されていない。前駅への整備は今のところまったく目途が立っていない。どうして安全柵を工事できない状態にあるのか。
御堂筋線といえば、大阪では利用者が一番利用者が多い地下鉄である。梅田・難波・天王寺といった中心部のターミナル駅を結ぶ路線として、時間帯を問わず常に混雑しているのも特徴的。
なぜ進まない?
ホームドアの設置については、心斎橋駅と天王寺駅のみに設置されている。
いずれも乗降客が多いがホームの幅が狭い駅である。
線路へ転落する人が相次いでいたため設けられた設備であるが、それ以外の御堂筋線内の駅にも整備される具体的な計画は今のところない。
近い将来にはすべての駅にて整備する方針だが、それでも工事はスタートしていない。
すでに整備済の2つの駅のホームドアも、列車のドアの開閉とは連動していない。
そのため、最後尾に乗務する車掌が列車とホームドアの2つの扉の開閉操作を行わなければならない。停車時間が他の駅よりも多くなっている。
一度乗ったことがある人なら感じたことかもしれないが、心斎橋駅と天王寺駅では電車が駅構内に到着してもなかなか扉が開かない。
また閉まっても発車するまでにタイムラグがある。これをもし他の駅にも設置すると、御堂筋線の電車全体が遅れることとなる。今の運行ダイヤでは対応できないのは確実だ。
列車の遅延の原因となるため、今のところは他駅への整備が進んでいない理由といえるだろう。\r\n
高度な運転技術が必要!?
ホームドアがあると、電車はより正確な停止位置に止まることが要求される。少しでもずれでしまうと、電車の扉がホームドアの開く場所が一致しなくなってしまう。
すでにホームドアがすべての駅に設置され、しかもワンマン運転が行われている千日前線・今里筋線・長堀鶴見緑地線ではATOという自動運転が行われている。
運転士が乗務しているが、その役割は電車の操縦ではない。
ドアの開け閉めとその他安全確認だけだ。
ATO運転により、コンピューター制御で定位置に電車が止まるようになっている。誤差も数cmくらいに収まる。
一方の御堂筋線は手動による運転となっている。運転士が自ら電車を操縦するため、少しでもミスをすると正しい場所に止まれない可能性も出てくる。
一度止まる場所がずれると修正に時間がかかるため、列車の遅延を生じかねない。しかも御堂筋線は高密度で運行されているため、他路線と比べてもその影響が大きい。
こうした手動運転でダイヤが過密している点もまた、御堂筋線でなかなかホームドアを整備できない状態にある理由である。