京成・都営浅草線・京急で通しで運転されるアクセス特急は乗車券や定期券のみで乗れる無料の列車である。特急券のような追加料金がかかる制度はない。
車両はふつうの通勤型の車両が使用されている。そのため、座席は基本的にロングシートとなっている。京急車の場合は端部だけ転換クロスシートになっているものもあるが、ごくわずかな運用である。
ほぼすべてが進行方向に対して横向きに座るタイプ「ロングシート」となっている。JRなどで言えば快速のような電車である。
ただし、グリーン車のような特別車は一切付いていない。あくまでも停車駅が少ない電車に過ぎない。
成田空港・羽田空港を結ぶ無料の電車
アクセス特急は成田空港や羽田空港を結ぶ電車である。京成線・都営浅草線・京急線を相互直通運転によって通しで走る。
成田空港~羽田空港間を通しで運転される電車については、途中の駅で乗り換えの必要はない。すべての区間で優等列車として通過駅が設定されていることから、所要時間も短いのが特徴。
しかも、一般的な通勤型の電車となっているため乗車券のみで乗れる。特急料金がかからないため、空港までの電車賃を節約したい人にとっては便利な手段である。
「特急」と聞くと、JRのように乗車券+特急券が必要になるイメージが強い。車両も専用のものが使われると想像するかもしれない。
しかし、私鉄である京成電鉄や京急電鉄では、「特急」は通常の快速電車の種別名である。停車駅が少ない普通電車と考えてよい。
追加の運賃が必要なのは、「スカイライナー」のように○○ライナーという名称がつく電車だけだ。
近年はLCC(格安航空)が広まったことにより、航空運賃が安いものがある。当然ながら、空港までの交通費も合わせて安く抑えたいという人もいるだろう。
そんな時には、アクセス特急を是非使いたいところである。
なぜ転換クロスシートではないのか?
アクセス特急は空港間を結ぶ電車ということで、一度に走る距離は長い。営業キロ数は85.4kmとなっている。決して短いとは言い難い。
しかし、それでもアクセス特急で使用される車両はふつうの通勤電車である。ロングシートで快適性が重視されているわけではない。
転換クロスシートにしてほしいという声もある。進行方向向いて座る座席のタイプなら疲れにくく、乗客にとってはやさしい。
ただ、転換クロスシートにしない理由がある。それは、混雑度の大きさだ。アクセス特急が走る京成線、都営浅草線、京急線はいずれも空いている路線ではない。
朝や夕方以降を中心に激しく混雑する。ロングシートにすることで、より大量の乗客を乗せることができる。
転換クロスシートにすると、乗車定員が少なくなることから、輸送力が落ちる。そんな理由から、アクセス特急で使われる車両に転換クロスシートは基本的にない。