JR鹿児島本線の混雑に関して、朝ラッシュと夕方から夜にかけての時間帯ではそれぞれどのくらいの規模になるのか。乗車率のレベルは具体的にいくつが目安になるのか。
今回の調査の対象は北九州・福岡都市圏に当たる門司港~荒尾間の鹿児島本線である。
快速と普通電車が一般形の電車として運転されている区間であり、JR九州では最も乗客の数が多い中核路線となっている。
乗客の数が多いということは、当然通勤通学の時間帯となる7時台・8時台をピークに激しい混雑になるのは避けられない。
博多駅を中心とする福岡地区は並行する私鉄である西鉄と競合するエリアだが、その分沿線の人口が多い。ラッシュ時の満員電車が緩和されているとは言い難い。
鹿児島本線の区間別の混雑レベル
区間 | 快速 | 普通 |
門司港ー小倉 | ■□□□□ | ■□□□□ |
小倉ー黒崎 | ■■■■□ | ■■■□□ |
黒崎ー福間 | ■■■□□ | ■■□□□ |
福間ー博多 | ■■■■■ | ■■■■■ |
博多ー二日市 | ■■■■■ | ■■■■□ |
二日市ー鳥栖 | ■■■■□ | ■■□□□ |
鳥栖ー久留米 | ■■■□□ | ■■□□□ |
久留米ー荒尾 | ■■□□□ | ■□□□□ |
香椎→博多の混雑率が130%に
鹿児島本線の場合、博多駅を中心にすると北側の混雑が激しい傾向にある。線内の最混雑区間は香椎→博多である。
朝ラッシュのピークとなる8時台前半だと混雑率が毎年120~130%で推移している。これは、快速と普通を総合的に見た場合の混み具合であり、実際には2つの種別では違いが見られる。
当然ながら、遠距離から来る乗客が殺到する快速の方が激しく混雑する。乗車率で言うと、150%程度にのぼると考えられる。
特に中間車両は端部に比べて人が集まるため、いつも例外なく超満員電車となる。ドア付近に立つと空間に余裕がない。窮屈感を感じるのはまったく否定できない。
雨の日になると、みんな傘を持っていることもまってさらに窮屈になる。ドア付近となると他の人と体が接することも珍しくはない。これが乗車率150%の目安だろう。
二日市→博多は乗車率120%程度
国土交通省が毎年公表している全国の鉄道路線混雑率調査では、二日市→博多の区間の混雑率は100~110%程度で推移している。
つまり、朝ラッシュのピークの時間帯であっても平均的に見るとほぼ乗車定員ということになる。特に空いている普通電車だと、立っている人の方が多い車内でも空間には余裕がある。
快速も乗車率は概ね120%程度で収まる。ダイヤの乱れ等がなければ、ドア付近でも他の空間に余裕がある。乗客同士が接することはなく、スマホの操作も簡単にできるレベル。
鹿児島本線の博多~大牟田間は西鉄天神大牟田線と並行して走っている。これにより、沿線の鉄道利用者をJR九州と西日本鉄道で分け合っている構図になっている。
長距離を乗る乗客が殺到する鹿児島本線の快速でも、博多~荒尾間の混雑が小倉側と比べて緩やかな理由は、並行する西鉄があるからだと断定できる。