東武鉄道の運賃について、関東の私鉄の中では高い。なぜ他社ほど安くはならないのか、線路が走っている地域の特徴から探ってみよう。
距離別の運賃では、10kmで195円、20kmで308円と、近距離の料金はそれほど高くはない。他の私鉄各線とほとんど変わらない運賃となっている。
しかし、30kmでは411円、40km515円と他社よりも高めになっている。他の私鉄ではそれぞれ300円台・400円台に設定されている例が多い。中・長距離となると東武鉄道の運賃が高いと実感するようになる。
地方の田舎まで線路を伸ばすため?
東武鉄道では、群馬県や栃木県内にまで線路を伸ばしている。いずれも首都圏の通勤圏内とは言えないような地域であり、地方の田舎であって沿線の人口も都市部と比べるとかなり少ない。
運行本数は少ないが、利用者数も少ない。一方、線路は都市部と同じく複線になっているところが多く、維持費もかかっている。しかし、利用する人が少ないため、収入は良くない。したがって、東武鉄道全体の収益は都市部の乗客から入った運賃で賄わなくてはならない。
一方、ほかの私鉄各線の場合、沿線は都心への通勤圏内である場合が多い。1時間に1本どころか30分に1本のような運行状態の地域を抱えていない。東武の場合は1時間に1本の運行本数となっている路線もいくつかある。
こうした路線は赤字に近い状態であり、その分経営の足を引っ張っている。もし運賃を全体的に下げてしまうと、採算が取れなくなってしまい、企業が成り立たなくなってしまう。
JRもまた運賃が私鉄よりも高い傾向にあるが、東武鉄道に関しても理由は同じである、採算が悪い路線を抱えているからこそ、運賃が高めに設定されているのだ。