京成本線の特急は遅いという声がある。最高速度は110km/hに設定されているものの、巡航速度はそれとはかけ離れているほどゆっくりである。
並行して走る総武線快速と比べるとかなり遅い。所要時間を見ると、総武線の各駅停車と大差ないくらいの水準となっている。
京成本線における特急とは、追加料金なしで乗れる無料電車である。乗車券や定期券のみで乗れて、一般車両で運転される優等列車。

大抵の長距離利用者はこの「特急」を使う。本数は1時間当たり3本、概ね20分間隔で走っている。
すべてはカーブが原因
京成本線の線形はかなり悪い。ほぼ全線に渡ってカーブが至る所にある。直線が比較的多い総武線とは対照的である。
東京都内と千葉県西部のエリアは平坦な地形だが、総武線が直線的になっていてもそれと並行する京成線の方はカーブが連続している。

しかも京成線のカーブは制限速度がかかる曲線である。曲線半径が小さい数値となっているため、電車は速度を落とさざるを得ない。
駅には止まらずに通過する特急でさえ、カーブとなれば減速しなければいけない。それが連続する場所は極めて多いことから、最高速度に近いスピードまで加速することすらできない。
いくつもの駅を通過する区間が多い特急は、駅間の走行は加速と減速が続くといっても過言ではない。巡航速度は平均的に見ると70~80km/h程度である。
なお、通過駅の設定がある快速もまた、特急と同じようにスピードは遅い。停車駅数は特急よりもさらに多く設定されているが、カーブも飛ばせない理由となっている。
所要時間の面でJR総武線が優勢となっていることには変わりない。
本数も少ない
京成本線の特急はまた、本数も少ない傾向にある。速達列車の運転本数に関して、首都圏では10分間隔または15分間隔が主流となっている。
相互直通運転を行っている京急電鉄でも、快特は1時間当たり6本、10分間隔で走っている。JR総武線も、日中でさえ毎時5~6本の快速電車が運転されている。
京成本線で特急が少ない理由として、所要時間の面で競合路線のJR総武線には勝てない点が挙げられるだろう。

停車駅が少ない特急を増やしたところで、所要時間ではJR総武線に劣っていることには変わりないため、乗客数が増えないという事情がある。
さらに、特急が多ければ停車しない小さな駅を乗り降りする人からは不満の声が大きくなる。そうなると、さらにJRへの流動が加速してしまうことになりかねない。
より小さな駅にも対応したダイヤこそが、京成本線で主力の需要といえるだろう。そのため、特急の本数が20分間隔と少なく抑えられている。
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東京都江東区在住。1993年生まれ。2016年国立大学卒業。主に鉄道、就職、教育関連の記事を当ブログにて投稿。新卒採用時はJR、大手私鉄などへの就職を希望するも全て不採用。併願した電力、ガス等の他のインフラ、総合商社、製造業大手も全落ち。大手物流業界へ入社。
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