名古屋市営地下鉄の民営化が実施される可能性はないのか。将来的にはJRのように民間企業へと転身される見込みについて考えてみた。
最近では大阪市営地下鉄が今の大阪市から民営化されて私企業になるという計画が有名であろう。
東京メトロと都営地下鉄の将来的な合併も話題を集めている。今のところはどちらも実質的に公企業だが、合併後は株式上場されて民間企業になることが予想されている。
名古屋市の地下鉄とバスに関しては、今のところ表立った動きはみられない。現状のままがいつまでも続くと考えている人も多い。
民営化の基準とは?
- 黒字幅の拡大
- 累積欠損金の削減
- 安定した経営
地下鉄が民営化されるために必要となる最低条件といえば、経営の安定化である。大阪市や東京のケースのどちらでも、黒字幅が大きくなってきたために民営化が議論されるようになった。
民間企業が目指すものは利潤の獲得である。そのためにサービスの質を向上させて収益の増加を狙う。
それと同時に安定して利益を上げるために赤字の要素を削ることも手段を選ばない。鉄道でいえば、配線や運行本数の削減である。
安定した経営が絶対必要
このような経営の合理化を図る必要をない状態で保つためには、民営化する前に黒字幅を増やして経営を軌道に乗せることである。
名古屋市営地下鉄の場合、ここ最近では黒字幅が増加している。建設費などでの借金の返済を考慮しても、利益が上げってきている。
しかし、10年ほど前まではそうではなかった。路線別だと負債額が大きい上に乗客数がそれほどいなかったために旅客収入が少なく営業収支が赤字になっていた例があった。
現在は新規路線が特に存在せず、既存の路線も好調な利用実績となっているため、民営化への基準を満たしつつある。
累積欠損金も減少し続けている。経営の安定化が実現する目途がついているのは確かだろう。
いつ民営化されるのか?
名古屋市営地下鉄の民営化が実施される時期についてだが、早くても2030年頃ではないか。今のところ議論が進展されていないため、実現の日は遠い未来となってしまう。
今のまま利益が伸びて黒字幅が大きくなっていったとすると、概ね2030~2040年頃には完全に株式上場が果たされるかもしれない。
しかし、現状の流れが今後も続く可能性は決して大きくはないのも確かである。名古屋市といえば、日本3大都市の1つであるが、少子高齢化の影響を受けていないというわけではない。
全国的に人口減少が社会的な問題となっている中で、名古屋市の人口も人口減少に転じると予想されている。
2020年頃からは市内の総人口が右肩下がりとなる。そうなると、地下鉄の乗客数も自然と減ることがわかるだろう。
乗客の数が減れば旅客収入も少なくなる。黒字幅が少なくなることを意味し、経営が厳しくなるかもしれない。
そうなると民間企業になるよりも市営の方が利用者にとってはメリットが大きいかもしれない。
したがって、名古屋市営地下鉄の民営化が本当に行われるかは疑問だ。