歩行者のイヤホンやヘッドフォンをしながら歩く行為は法律上は特に問題なく違法というわけではない。誰もが周囲の交通に注意する義務がある以上、完全なる合法とまではいかないものの、罰則はなく暗黙の了解で認められている。
ただしマナーの観点からすると決して良いことではない。周囲に対して注意力散漫になるのは避けられない。
交通事故に遭った場合などでは事故を回避する意識に欠けているとして過失割合が大きくなる可能性も存在する。
歩行者のイヤホンの問題
- 周囲の交通に対する注意力が低下
- 危険を察知にしくくなる
歩行者優先という道路上の原則がある以上、どうしても歩行者の社会的な責任はあまり出てこない。
道路交通法においても歩行者のイヤホンやヘッドフォンに関する規定はなく、音楽を聴きながら歩くことは問題とされていない。
しかし、現実的な問題として考えると、イヤホンやヘッドフォンによってデメリットを被ることもあるのは確かだ。
まず周囲の交通に対して注意力が低下する。音楽に集中してしまうと、周りから車両が接近していたとしても気づかないことがある。
信号機が前方にあっても気がつかなかったり、道路を横断する際に車が来ていることを察知できなかったりする。
さらに、危険を感じる能力も下がる。本来なら避けられたであろう交通事故に遭うリスクが上がる。
車両の運転手にとって都合が悪いだけでなく、歩行者自身も大きな痛みを被ることとなる。違法ではないとはいえ、イヤホンやヘッドフォンは好ましい行為とは言い難い。
過失割合が加算される?
交通事故に遭った場合、歩行者優先の原則から「車両が悪い・歩行者は悪くない」ととらえがちだが、歩行者にも過失があったとみなされることもゼロではない。
赤信号無視や安全確認の怠慢などがあると、歩行者にも交通安全に対して不十分な点があったと判定される。
さらに、イヤホンやヘッドフォンをしていた場合は「重大な過失」があったと認められる可能性も出てくる。
交通安全に対しる意識が低い、危険を察知しようする意識に欠けているとして重大な過失があったと認定されるかもしれない。
特に信号無視や道路への急な飛び出しになると、どんな場合でもそれに対して注意を向ける必要がある場面となる。イヤホンやヘッドフォンはそれを妨げるものとして、歩行者側が通常よりも不利になるリスクがある。
この点では歩きスマホと同じだ。歩きスマホも法律上は違法ではなく罰則もないが、重大な過失と認められる危険な行為である。
イヤホンしながら走るは?
ところで、歩いている場合と走っている場合では危険度が異なる。交通事故に遭った場合も、駆け足で走っていたとなると過失が大きくなりやすい。
駆け足で走っている場合は道路上では「飛び出し」とみなされる。ジョギング、ランニングでも飛び出しという行動に該当する。
走りながらイヤホンやヘッドフォンをしていた場合、交通事故に遭った場合は飛び出しとイヤホン装着という2つの過失が成立するかもしれない。
こんな場合も歩行者に「重大な過失」があったと認定されてしまう可能性が出てくる。
音楽を聴きながら道路を走るという行動は危険であるのは確かだ。違法ではないものの、決して好ましいことではない。