自転車の踏切での一時停止の義務はある。法律(道交法)でもこれを定めた記載がある。ただ、実際のところは警察官に見つかっても取り締まりの対象にはほとんどならない。
交通違反であっても捕まる人はほぼいなく、罰金などに発展するケースはかなり稀。
完全に有名無実化している。実際の風景を見ても、踏切の直前で一旦停止している自転車は皆無。
法律上の建前と実態
法律上の建前 | 実際の現実 |
自転車でも踏切の直前では一時停止が義務。 | 踏切手前で一時停止するのは車だけ。自転車はほとんど歩行者と同じような存在として、一時停止する人は皆無。そのまま通過。 |
刑事罰:一時停止しないで通過すると3か月以下の懲役または5万円以下の罰金。 | 自転車の踏切一時停止不履行で捕まる人はほとんどいない。警察官がいても交通違反として取り締まりの対象にはなりにくい。 |
踏切直前の一時停止不履行の取り締まりの対象は自動車も自転車も同じ。 | 交通違反取り締まりの対象は基本的に車のみ。 |
自転車の踏切の直前での一時停止に関する事情は、法律上に書かれていることと実際の現実では正反対といってよい。
道路交通法での条文はあくまでも建前であって、自転車は「守らなくてもOK」と考えている人が多いのが現実。
信号無視などと比べてもさらに認知度は低いのも確か。
道交法上は自転車でも踏切の直前停止は義務
道路交通法には、自転車に関する踏切の直前での一時停止の義務が明確に記載されている。
道路交通法(踏切の通過)
第三十三条
車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
条文では、「自転車」ではなく「車両等」と書かれている。このため、チャリンコと直接記載されているわけではない。
ただし、自転車はあくまでも軽車両。つまり、完全にここでの「車両等」に該当する存在。
ゆえに、自転車も鉄道の踏切を通過する際には一時停止することが求められているというわけだ。
実際にはほぼ全員が一時停止不履行
実際の現実的な光景を見ると、自転車で踏切の手前で一時停止している人はほとんどいない。ほぼ全員が「一時停止不履行」なのが実態。
一般市民の意識としても、踏切で警報器が鳴っていない状態・遮断機が下りていない状態でも一時停止をする必要があるのはあくまでも自動車のみと考えている人が多いのではないか。
自転車も車両ではあるが、あくまでも法律上の話、自転車はどちらかというと歩行者と同等として受け止めているケースが非常に多いのも背景にある。
運転免許証の所持の有無を問わず、「自転車=歩行者」という認識が広く浸透していることが、ほとんどの自転車が踏切直前での一時停止を行わない理由の1つとも言える。
なお、警察官も踏切直前で一時停止しない自転車を見つけても、捕まえて交通違反切符を交付するということはほとんどない。
現在でも、自転車関連の交通違反で刑事手続きが取られるのは信号無視などの交通事故に直結しやすい重大事案に限られる傾向がある。
また、踏切を管理する鉄道事業者でも自転車に対しては踏切直前での一時停止を積極的には呼び掛けてはいない。
官民ともに実際のところは黙認している状態なのがわかる。
取り締まりの対象は遮断踏切への立ち入り
~自転車でも交通違反取り締まりの対象になる事例~
・遮断機が下りてきている時、下りている時に踏切に進入した場合…即赤切符
・警報機が鳴っているときに踏切に進入した場合…厳重注意にとどまることも
ただし、自転車とはいえ遮断機が下りてきている時または下りている時に線路内へ無理矢理侵入する行為では警察官による交通違反の取り締まりの対象となる。
一時停止不履行では捕まる可能性が低いが、遮断機が下りてきている場合にそのまま通過すると完全に「赤切符」を切られる。
警察24時などでもよく取り上げられる内容でもある。
警報器がなり始めたばかりの踏切への立ち入りでも警察官に見つかると捕まる可能性がある。
こちらは赤切符を切られることはそう多くはないものの、警告(厳重注意)は確実にされる。
遮断機が完全に下りた状態のところを線路内に侵入する自転車の人は少ないが、遮断機が下りつつある状態のところを強引に通過する人は目立つ。
自転車と踏切に関する交通違反で最も赤切符を切られる可能性が高いのもこの場面である。