東武東上線において複々線の区間を志木駅以北まで延伸させる計画はあるのだろうか。かつては川越市駅まで線路を倍増させることが検討されていたが、現在は和光市~志木間に留まっている。
池袋~和光市間では、並行して東京メトロ副都心線を建設したことで、複々線化は結果的に行われなかったものの、同じエリアに2つの路線が走っていることから、実質的には複々線化が実現したという形となっている。
和光市~志木は1987年に複々線化完了
東武東上線の和光市~志木間の複々線化が完了したのは1987年のことである。同時に連続立体交差事業も並行して行われ、該当する部分では踏切はゼロになった。
また、合わせて地下鉄有楽町線(副都心線との共有区間)も開業し、東武東上線との相互直通運転を開始した。
この時、池袋~志木の区間では線路の容量が2倍に増え、列車の増発が可能となった。一部の乗客が和光市駅から地下鉄に流れたことで、池袋~和光市間の東武東上線の混雑もある程度緩和された。
一方、東武東上線全体では池袋~川越間が利用者数が多い区間となっている。朝と夕方のラッシュとなるとかなり混み合う区間で、日中のオフピークの時間帯に至っても乗客が多い。
>>東武東上線の朝ラッシュの混雑はどれくらいの規模になる!?
この区間では、通勤ラッシュの時間帯では供給力不足になっている。混雑率もかなり高い数値となっていが、電車の運行本数は線路容量の上限近くまで達しているのが現状。
これ以上は本数を増やせないと見られる。そのため、複々線化を希望している人は多いだろう。この状態は、1987年に志木以南が複々線となってからも変わっていない。
志木~川越市間は土地がない
東武東上線では、今のところ志木駅から北側で複々線化を進める計画はまったく具体化されていない。
このまま延久的に複線のままになる公算の方が高い。首都圏では、路線によっては複々線化が積極的に進められている事例があるが、東武東上線はその1つには入っていないのが現状である。
理由は土地の確保が難しいためだと考えられる。志木駅から川越市駅にかけての線路の周囲を見ると、追加で線路を建設できる用地はまったくない。
しかも、東武東上線で実際に線路を増やすとなると連続立体交差事業も並行して行われることとなるが、高架にするとなっても今の複線の分しか場所はない。
もしどうしても複々線化をするとなれば、線路を地下化するしかないと思われる。土地を地権者から買い取るという案は、沿線はすでに住宅街が広がっている現実を考えると難しいだろう。
立ち退きを要請するにしても、猛烈な反対運動が起きることが予想される。首都圏でも今後は少子高齢化が進むことが予測されている中、東武東上線でも利用者数の減少が見込まれている。
そんな社会的な流れを考えると、さらなる複々線化は現実的ではない。よって、計画は完全に白紙の状態と考えてよいだろう。