TJライナーは100%トイレなし
東武東上線の座席定員制の有料列車「TJライナー」にはトイレがまったく付いていない。
すべて50090系という専用の車両が使われている。これ以外にTJライナーで使われる車両はないものの、御手洗の設備は導入されなかった。
同じ東武鉄道でも本線系統である東武スカイツリーライン、伊勢崎線、日光線の特急ではすべての車両に例外なくトイレが設置されている。
特急車両が使われていて、急行以下の普通の通勤型電車とは設備の内容が異なっている。
一方の東上線のTJライナーは通勤型車両を転換クロスシート仕様にしただけの車両である。
転換クロスシートとは、進行方向に向かって座る座席のタイプで、新幹線や特急と同じ形式のものである。
形もふつうの一般的な電車である。座席定員制というのが売りのポイントになっているが、特急列車ではない。
東武本線系統の特急は、TJライナーとは違って車両そのものが特急だけに使用される。ライナー列車としても使われるものの、料金体系は特急とほぼ同じ。違いは薄い。
なぜトイレなしなのか?
では、なぜ東武東上線のTJライナーにはトイレが導入されなかったのか。
理由は路線距離の短さにあるといえる。所要時間は、全区間に当たる池袋~小川町間で60分が標準となっている。
快速や急行でも70分前後という所要時間になっていて、最大でも乗車時間は1時間程度となっている。
何時間も走り続けるわけではないため、トイレが設置されたなかったものと考えられる。
東武スカイツリーライン・伊勢崎線・日光線の特急列車は2時間以上も走るところが多い。始発駅は浅草駅で、そこから栃木県や群馬県方面へ向かう。距離が長い分所要時間も長い。
トイレの需要が大きいという性質があるため、こちらでは東上線とは違って御手洗設備がある。
さらに、TJライナーはあくまでも着席サービスのみという性質が大きい列車であることも、トイレが付いていない要因とも受け取れる。
停車駅の数は急行などよりも少ないが、所要時間の差はそれほど大きくはない。5~10分程度違うだけである。
長距離列車でないからこそ、トイレの必要性がそれほどなかったのだろう。