JR大和路線の最高速度は120km/hに設定されている。ATSでは天王寺→奈良間でここまで加速することが認められている。しかし、実際にはそのスピードまで出せる区間は限られている。
今回は大和路線の駅間ごとに実際に出せる速度を調査してみた。快速と各駅停車の2種別が運行されているが、それぞれどれくらい出すのか。
各駅停車の速度
各駅停車は基本的には201系で運転される。201系は最高速度が100km/hまでしか出せない。
さらに、大和路線の駅間距離は全体的に短く、大阪府内だと1~3kmくらいしかないところが多い。
加速したらすぐに減速するという走り方をせざるを得ない。このため、各駅停車は80~90km/hくらいしか出せないところがほとんどである。
奈良県内については、そもそも各駅停車は王寺駅止まりのケースがほとんどということで、速度が出せずに終点に到着する。
大和路線の最高速度である120km/hというのは実質的には快速にだけ適用されるスピードといえる。
快速の区間ごとの速度
区間 | 実勢速度 |
---|---|
天王寺~久宝寺 | 100~110km/h |
久宝寺~柏原 | 120km/h |
柏原~王寺 | 70~100km/h |
王寺~奈良 | 100~110km/h |
奈良~加茂 | 80~95km/h |
221系で運転される快速電車の場合、実際に出せる速度は上の通りになる。上下線ともに120km/hまで加速できるのは久宝寺~柏原間くらいに限られる。
それ以外の区間は制限速度のかかるカーブがあったり、駅間距離が短かったり、先行する各駅停車に追いついてしまうなどの制約があるため、120km/hまでは出せない。
天王寺~久宝寺
天王寺~久宝寺は通過駅がいくつかあり、直線も非常に充実している。線形から考えると快速なら最高速度まで加速できる。
奈良方面へ向かう電車の場合、実際に120km/hまで出す場合もある。各駅停車に接近しない限りは最高速度を出せる。
天王寺方面の場合は100~110km/hまでしか出さないことがほとんど。前を走る各駅停車に追いついてしまうことや、ダイヤそのものの都合から最高速度までは出さない。
さらに、平野駅や百済貨物ターミナル駅付近には制限速度がかかるカーブがある。この部分では221系でも100km/h以下まで減速する。
このため、物理的には120km/hを維持するのが難しい。
久宝寺~王寺
久宝寺~柏原の区間は線形が良くほぼ直線的になっている。上下線ともに快速はここで120km/hを出す列車がほとんどとなる。
特に八尾~志記では最高速度である120km/hまで加速しきるため、大和路線の中でも最も速度を出す区間といえる。
柏原~王寺間は山間部を走り、線形もかなり悪い。制限速度がかかるカーブが連続するため、120km/hまで出すのは不可能。
久宝寺~王寺間は快速はノンストップになる部分に当たるものの、高速走行できるのは柏原以西の平野部のみとなっている。
王寺~奈良
王寺~奈良は快速も各駅に停車する区間となる。駅間距離に関して3km以上あることから、速度が出せずに次の駅に到着するというわけではない。とはいえ、120km/hまで出せるほど余裕のある距離でもない。
この区間では100~110km/hまで加速することがほとんどである。221系の車両の性能からも、この速度域が限界のようだ。
線形はほとんど直線となっているため、大きく減速することが必要なカーブはない。ただし、旧式の201系で運転される列車は100km/h未満で走る。