浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールの運賃が高いと思ったことがある人は多いはずだ。利用者が多くて経営は安定して黒字であるにも関わらず、どうして料金の値段があれだけ高額になっているのだろうか。
開業したのは東京オリンピックが開催された1964年のことである。運賃が高い軌道路線の特徴として建設されたのがつい最近という点が挙げられるが、東京モノレールについてはすでに半世紀以上の歴史がある。決して新しい路線とは言えない。
なぜ運賃は高いのか?
- 建設費が高かった
- 維持費がかかる
- 輸送力が低い
建設費が高かった
東京モノレールそのものが開業したのは1964年ということで古い。建設費の借金はすでに返済が終わっている。当時はまだ日本が高度経済成長期であったため、物価も今よりかなり安かった。
しかし、当時は浜松町と旧羽田駅を結ぶだけであって途中駅は1つもなかった。今のような天王洲アイル駅や流通センター駅などもなかった。
これらの途中駅ができたのは後になってからのことである。駅を新設するには当然お金がかかる。しかもモノレールということで高架にしなければならないため、地上に作るよりも多くのコストが必要となる。それをいくつも新設したため、建設コストがかかった。
さらに、快速列車を待避できるように昭和島駅に待避線を設けたり、ホームドアを設置したこともまた建設費をさらにかけた要因となった。
最初に作った線路だけでなく後年できた駅の建設費も多くかかったために、今のような高い水準の運賃となっているわけである。
維持費がかかる
モノレールのもう1つの特徴として、維持費がかなりかかるというデメリットを持つ。軌道の取り付けや交換には、地上からクレーンなどを使って行うため、非常に膨大なコストがかかる。
しかも、空港周辺では地下を通っていることもあり、地下水のポンプによる汲み出しなどにも費用がかかっている。
車両のメンテナンスにも鉄道よりも高いコストを要する。鉄道よりも走行する環境が厳しいこともあり、より高い安全性がモノレールには求められる。それに比例する形で維持費が大きくなっている。
輸送力が低い
さらに、モノレールは鉄道よりも輸送力が低い。鉄道の20m車1両に乗れる乗客がモノレールに乗るとすると2両分の車両が必要になる。
東京モノレールでは1編成あたり6両で運転されているため、鉄道で言うと3~4両編成で運転されているのと同じ程度の輸送力となっている。
4分に1本走っているため、運転本数は多くて高頻度な列車の運行ができているものの、1回で乗れる乗客の人数が少ないため、輸送力では鉄軌道の電車には勝てない。
輸送力が低いということは、それだけかけるコストに対して利益が小さくなる。東京モノレール側が安定した収益を得ようとすると、どうしても運賃を高くせざるを得ないというわけだ。
こうした不利な条件のため、東京モノレールの運賃は付近を走るJRや私鉄、それにバスに比べて運賃の値段が割高となっているのである。