東海道新幹線の最速列車であるのぞみ号だが、静岡県内の駅には1つも止まらない。新横浜駅~名古屋駅間はノンストップで運転している。静岡駅・浜松駅は特に大きな駅であるものの、ひかりとこだましか停車しない。
のぞみ号の停車駅は、東海道新幹線区間では東京・品川・新横浜・名古屋・京都・新大阪のみに設定されている。その一方で、静岡県は長い距離を走る。愛知県や神奈川県よりも走行距離は長い。
乗降客数については、静岡駅と浜松駅は多い。前者は1日当たり約58,000人が乗降する。後者は約35,000人となっている。特に前者は山陽新幹線の小倉駅よりも乗降客数では多い。
東京・名古屋・大阪間の移動が大半
東海道新幹線の乗客の大半は東京と大阪間を移動する人々である。その次に多いのは東京と名古屋を移動する人となっている。東京・名古屋・大阪は日本の三大都市でもあるため、これらを移動の際に新幹線を使う人は膨大な人数に及ぶ。
東京駅の東海道新幹線の乗降客数は1日当たり93,000人、新大阪駅は74,000人にのぼる。静岡県内の新幹線と在来線の乗降客数の合計よりも大きい数値となっている。それだけ、三大都市圏の需要が大きいというわけである。
のぞみ号の役割はそれら三大都市を移動する人の輸送である。そして、多くの乗客は少しでも早く目的地に着きたいという思いを持っている。
ここで静岡県内の駅に列車を止めてしまうと所要時間が長くかかってしまう。乗り降りする人がいるのは事実であるが、全体から見た割合ではかなり少数派となる。三大都市を移動する乗客の数と比べると静岡駅や浜松駅を乗り降りする人はかなり少ない。
需要を考えると、どうしても最速列車の役割を担っているのぞみを静岡県の駅に止めるわけにはいかないのがわかるだろう。
リニア中央新幹線開業後はどうなる?
ところで、リニア中央新幹線が開業したら東海道新幹線の最速列車である「のぞみ」が消えるのではないかという噂がある。
長距離の速達輸送はリニア中央新幹線が担うことになるため、わざわざ従来の新幹線で速達列車を走らせる必要がなくなるという声も一部にある。
これにより、静岡県内にも速達列車を停車させるようになるのではないかと予想している人も多い。仮に「のぞみ」が東海道新幹線に残ったとしても、のぞみを静岡駅や浜松駅に停車するようにダイヤ改正する可能性は確かにある。
ただし、リニア中央新幹線が開業してもしばらくの間は品川~名古屋間のみとなる。名古屋~大阪間が開業するのは2045年とかなり遠い未来である。それまでは東海道新幹線が少なからず重要な輸送を担うことになる。
首都圏と関西を結ぶ最速列車の需要が衰える可能性はかなり低い。これを考えると、静岡県内には一切止まらないのぞみが生き続き残る可能性はかなり大きいといえる。
さらに、名古屋~大阪間が開業しても京都や新横浜はそもそも通らない。そのため、これらの駅の利用者のことを考えて「のぞみ」号を存続させる可能性は決して低くはない。