北海道新幹線の運賃は高いという声はかなり多いだろう。東京から新函館北斗間を利用した場合、最も安い普通車指定席でも22,690円もかかる。当初想定されていた値段よりもかなり割高な料金の設定になっている。
北海道新幹線の部分である新青森~新函館北斗間の特急料金は、東海道・山陽新幹線の1.58倍、東北新幹線の1.52倍、九州新幹線の1.23倍になっている。
しかも、東京方面から北海道新幹線の区間を継続で乗車する場合でも、特急料金は別々に計算される。
東北新幹線の東京~新青森間の区間の料金と北海道新幹線の新青森~新函館北斗間の区間の料金の合計を負担するという形になっている。割引がゼロな点もまた、運賃が高い結果になる原因となっている。
値段だけが上がった?
北海道新幹線が開業したのは2016年のことだが、それ以前は在来線の特急「スーパー白鳥」と「白鳥」が運転されていた。
当時の特急料金は、青森~函館間では2,250円だった。しかし、新幹線にグレードアップしてからは4,450円と大幅に値上げされた。しかも、青森~函館間だけの移動に限っていは、以前と所要時間はほとんど変わらない。
新青森駅と新函館北斗駅にて乗り換えが必要となったため、結果的に直通運転が行われていた在来線特急の時代と変わらない状態が続いている。
新幹線になってからも、青函トンネル内は最高速度が140km/hに抑えられている。スーパー白鳥も同じく140km/hで運転されていたため、大きなスピードアップが図られたとは言えない。
新幹線になって変わったことと言えば、完全に値段が上がったこと以外に何かあるかというと、東京方面へ乗り入れる東北新幹線とつながっただけといっても過言ではないかもしれない。
青森~函館間の約150kmの距離に対しての4,450円という特急料金は、日本一高い料金となっている。同じように近年開業したばかりの北陸新幹線よりも値段は高い。
すべては青函トンネルに問題がある
ただ、北海道新幹線の線路や車両に問題があるかというと、そうではない。スピードアップが図られない理由は、海峡部の青函トンネルにある。
青函トンネルに限っては、在来線と共有している。貨物列車ともすれ違うため、風圧の関係上、最高速度が140km/hに抑えられているというわけだ。
値段の高さは、青函トンネルの維持費に当てられているようだ。1988年に完成した海峡部のトンネルだが、近年は老朽化が問題となりつつある。
トンネルの維持には多額の費用がかかる。水漏れ対策や補強工事は常に必要なメンテナンスで、これに大きなコストがかかっている。
「受益者負担の原則」ということで、青函トンネルの維持費を負担するのはどうしても北海道新幹線の利用者ということになる。日本一高い新幹線になっている理由はここにあるのだ。