京王線の朝ラッシュの電車はどれも遅い。特に上り電車は、必ずといっていいほど列車の渋滞が発生する。駅の手前で先頭を走る電車に追いついてしまうことが頻発している。そして、徐行運転がノロノロと始まる。
平日の朝の上りでは、各駅停車のほかに急行・区間急行が運転されている。あまりにもダイヤが過密状態となっているため、特急や準特急の運転はまったくない。調布~新宿間でも停車駅がやや多い形となっている。
参考:京王線の混雑のピークの時間帯はいつ!? 上り・下りそれぞれ調査
しかし、それでも先行列車に追いついてしまってノロノロ運転になる電車が続出する。
急行、区間急行となると、前を走るのは各停の場合がほとんどのため、必ずといっていいほど遅くなる。
複々線区間がほとんどないため
京王線の朝の時間帯の上り電車が遅い理由は、複々線区間がほとんどないからである。これが一番多きあ原因といってよいだろう。
京王線で複々線化が整備されているのは、新宿~笹塚間に限られる。しかも、この区間は都営新宿線への連絡線のような性質が強い。実際には、全線が単なる複線であるといっても過言ではない。
複線だと線路容量の限界のレベルは結構低い。京王線のピーク時のダイヤでは、電車が2~3分間隔で走っている。最もダイヤが過密状態にある調布→笹塚間では、午前7時台後半から8時台いっぱいはこの状態が続く。
京王線の沿線はほぼ全線に渡って住宅街が広がっているため、都心へ向かう通勤通学客はかなり多い。しかも、調布駅では八王子方面からの電車と相模原線の橋本方面からの電車が合流するため、上限ギリギリのラインで列車が運転されている。
しかし、それでも各駅停車に加えて急行と区間急行も走っていることから、通過駅が多い電車がすべての駅に止まる各停にどうしても追いついてしまう。
これにより、結局は急行系の電車も徐行運転を余儀なくされ、ノロノロ運転になって所要時間が遅くなるというわけだ。
明大前駅が渋滞の名所
中でも、明大前駅付近において電車の渋滞が発生しやすい。この駅では、すべての種別が停車するようになっているが、井の頭線との乗り換え駅ということもあって、乗降時間は長くなる傾向にある。
駅構造上、ホームは上下線でそれぞれ1つずつしかない。停車中の電車がいると、後続の電車は先頭が発車するまでは入線できない。
ここで、先行列車に追いついてしまって駅の手前で信号待ちとなってしまっている。朝のピーク時については、毎日の光景となっている。
明大前駅では現在高架化の工事が実施されている。これが完成するのと同時に、明大前駅は2面2線から2面4線に変わる。これによって、交互発着が可能となる。
完成すれば、駅のホームの手前で信号待ちが発生する頻度は大幅に下がる。また、急行が各停を追い抜けるようになるため、朝ラッシュの時間帯の優等列車の速達化が実現されると考えられる。
すなわち、今の慢性的な遅い状態が解消されることになる。