九州新幹線の東京駅までの乗り入れがまったくないが、その理由とは何か。なぜ、博多~鹿児島中央を走る列車は新大阪駅までが終点となっていて、東海道新幹線の区間には入らないのか。
九州新幹線は山陽新幹線へ直通している。山陽新幹線はまた、東海道新幹線と直通運転を行っていて、東京~博多間を通しで走る列車はいくつもある。
しかし、東海道・山陽・九州の3つの区間をすべて通しで走る列車は存在しない。東京駅発着ののぞみ号は、博多駅までしか走らない。
九州新幹線の最速列車であるみずほ号は新大阪駅までとなっている。同じく準速達型のさくら号も新大阪~鹿児島中央間に限られる。
東京~九州間は航空機が圧勝のため?
東京駅を発着する列車が九州新幹線へ乗り入れていない理由は、航空機との競争に勝てず、需要が少ないからだと考えられる。
新幹線が航空機よりも利用者が多くて優勢に立てるのは、所要時間が4時間以内となる区間とされている。東京~博多間では、最速ののぞみでも所要時間は5時間近くとなっている。
つまり、東京~福岡間では航空機が優勢となっているわけだ。九州新幹線の区間は、博多よりもさらに遠いため、長距離運行の需要が少ない。
実際、東京~熊本間は完全に航空機を使う人が圧倒的に多い。新幹線を使う人は一部に限られる。東京~鹿児島間では、さらに飛行機に軍配が上がっている。
こうした需要の面から、九州新幹線は東海道新幹線へは乗り入れていなく、新大阪止まりとなっている。
九州新幹線内の主要駅から、航空機よりも優勢に立てる状態にあるのは、大阪をはじめとする関西地区までといえるだろう。
東海道新幹線は完全に16両編成のみ
ところで、九州新幹線はすべての列車が8両編成で運転されている。ホームの有効長も8両編成までとなっている。
一方、東海道新幹線ではすべての列車が16両編成で運転されている。これよりも短い列車は1つもない。列車運行の設備も16両編成にだけ対応している。
そんなわけで、九州新幹線の列車が東海道新幹線の区間に乗り入れるのは難しい。もし仮にこれを実現しようとしても、設備の改良などで時間とコストがかかることが予想される。
東海道新幹線を走るのぞみ号は、物理的に九州新幹線には乗り入れられない。無理矢理直通するとなれば、ホームの長さが足りないこととなってしまう。
山陽新幹線の場合は、16両編成と8両編成のどちらにも対応している。東京駅発着の列車が16両編成であるため、ホームの長さが確保されている。さらに、山陽新幹線は需要がやや小さいため、短い8両編成の列車も多数走っている。
このため、九州新幹線の電車も新大阪駅まで直通運転できている理由となっている。