小田急多摩線には延伸計画が存在する。未開通部分の沿線の自治体となるだろう相模原市や町田市が推奨していて、さらにその先の厚木や愛川町まで延伸させるべきというところもある。
具体的な計画では、JR横浜線と接続する相模原駅を通り、JR相模線の上溝駅まで延伸させるとなっている。国土交通省でも、交通政策審議会答申によってこのルートが積極的に建設するべきだという意見を述べている。
一方で、リニア新幹線の停車駅となる橋本駅のほうへ延伸させるべきだという意見もある。
ただし、いずれも具体的な工程プロセスはできていなく、実現される見通しもまったくたっていない。白紙状態といえるだろう。
具体的な延伸計画とは?
国土交通省の交通政策審議会答申で議論に上がっているのは、下の表の一番上の唐木田~上溝の延伸計画である。
延伸計画 | 詳細 | 実現の可能性 |
唐木田~上溝の延伸部分の実現 | 今の終点である唐木田駅からさらに延ばして相模原駅・上溝駅まで延伸させる | △ |
上溝→愛川・厚木方面へさらに延伸 | 上溝駅からさらに愛川町や厚木市内まで延伸されるという計画 | × |
唐木田~橋本への延伸 | リニア新幹線開業の効果はあるが、京王相模原線と重複するためほぼない。 | × |
唐木田~上溝間のルートの延伸だけに限っては、実現される可能性がゼロというわけではない。
国土交通省で審議されていることから、具体的な計画そのものはまだ白紙だが、将来的には工事が行われるかもしれない。
JR横浜線との交点になる相模原駅やJR相模線との交点になる上溝駅までであれば、需要が少ないとは言い切れない。
参照:【小田急】新百合ヶ丘まで複々線化が実現する可能性はやはりゼロ!?
なお、同じように小田急では登戸~新百合ヶ丘間の複々線化の計画も同時に答申されている。
愛川町延伸や橋本ルートは100%ない
- 愛川町・厚木市方面…ほぼ無理
- 橋本方面…京王相模原線と並行するため無理
一方の上溝駅からさらに愛川町や厚木市まで小田急多摩線を延伸される案は、おそらく実現できないだろう。
ここまでになると、大きな需要は見込めない。莫大な建設コストをかけてまでメリットがあるとは言えない。
また、リニア中央新幹線の停車駅になる橋本駅の方向へ延伸されるという案もあるものの、こちらも難しいだろう。
多摩センター~橋本間は京王相模原線が通っている。もし小田急多摩線が橋本駅の方へのルートとなった場合、完全に京王と重複することとなる。
今でも、多摩センターや永山から新宿までの間では小田急と京王が競合する形となっている。
最近では、小田急本線の代々木上原~登戸間の複々線化によって小田急のシェアが上がったものの、今でも京王の方が優勢となっている。橋本でもこの構図は変わらない可能性が高い。
したがって、橋本ルートに決まる可能性は薄く、完全なる白紙と判断できる。
開業するのは2040~2050年ごろか?
小田急多摩線の延伸区間が実際に実現できたとしても、開業するのはおそらく2040~2050年ごろになると思られる。
理由としては、次の2点になる。
- 白紙状態から完成まで…最短でも20、30年はかかる
- 建設予定地はどこも住宅街
白紙状態から完成までには20、30年はかかることが多い。しかも、延伸部分に予定されている土地はどこもすでに開発が進んでいるところである。
のどかな田園風景が広がる場所でもなければ、雑木林の山間部でもない。住宅街が広がる地域である。
用地買収には相当な時間がかかるだろう。しかしも、住民や地権者の同意が得られない可能性もかなり大きい。
地下に線路を建設するという案もあるものの、これにはかなりの建設費がかかる。相当大きなリターンがあることが確実視されていない限りはまず難しい。
よって。仮に小田急多摩線の相模原駅・上溝駅までの延伸区間が建設できたとしても、それが完成するのは2040~2050年ごろになるだろう。