JRの電車が止まったり遅れたりする頻度は私鉄よりも多い。台風や雪の日、私鉄は動いているのにJR線はストップしているというニュースを見たことはないだろうか。それにはどんな理由があるのか。
元国鉄ということで、JRは全国的に線路を保有している。一方、私鉄は地場に特化した鉄道会社であり、その土地に密着した会社である。路線距離も短くて運行する列車の総数もJRよりは少ない。
JRだけが止まりやすい理由はここにある。数多くの路線を持っているということで、列車の運行管理も私鉄と比べて複雑なものとなる。1つの駅に複数の路線系統の電車が発着しているため、これの管理も決して簡単ではない。
線路周辺の気象状況や線路上の配線などをすべて把握することは私鉄よりも難しい。1本の電車で少しでも遅れが出てしまうと、他路線へ影響が出るということもある。
例えば悪天候の場合、Aという路線では何のトラブルもないとしてもBという路線で徐行運転などを余儀なくされた場合、B線で遅れが生じることでA線にも遅れが出る。その結果、何も問題がない路線にも問題が発生してしまい、結果として運行情報に「遅延」という文字が出ることとなってしまう。
1つの路線だけを管轄しているわけではなく、複数の路線が互いに関係を持っているために、JRでは頻繁に運転見合わせや遅延が生じてしまうのである。
私鉄はなぜ遅れにくい?
一方、私鉄の場合はどうして遅れにくい鉄道会社が多いのか。これはJRの逆である。特定の地域だけに線路を持っている例がほとんどなため、天候や事故の影響をあまり受けない点にある。
雪や台風の日であれば電車がストップすることがあるのは間違いない。とはいえ、線路自体は特定の地域だけにあるため、その地域の天候にだけ左右される。他の地域で悪天候な条件であったとしても、私鉄が手を伸ばす地域に異常がなければ電車は通常通り運行できる。
また、1つの駅に複数の路線が発着するという例が少ない。あったとしても都心のターミナル駅くらいであるケースが多い。つまり、どこかの路線でトラブルが発生して遅れが生じても別の路線にそのトラブルの影響は出にくいというわけだ。
さらに、路線距離が短いということで運行管理も単純な傾向にある。複雑な仕組みにはなってしないため、たとえば1本の各駅停車の列車に異常が出ても、次の待避線のある駅で後続の快速や急行電車を先に行かせる後ろを走る電車にできるかぎり影響を与えないようにするといったことができる。
柔軟に列車の運行管理がやりやすいのが私鉄ならではの特徴である。そして、これもまたJRよりも運転見合わせや遅延が発生しない理由の1つである。