鉄道の「遅延証明書」のもらい方は原則として2通りある。
1つ目は、駅の改札口にて駅員が配布している紙切れを受け取る方法。
2つ目は、インターネット上にて鉄道事業者のウェブサイトから電子版の遅延証明書をダウンロードする方法。
いずれも公式に有効で、どちらか一方が優れているというわけではない。
ただし、ある程度の年齢層の人たちを中心に紙媒体の遅延証明書の方が信用性が高いという意見もあるのは確か。
目次
遅延証明書のもらい方~この2通り
入手方法 | 具体的な内容 |
---|---|
駅改札口にて配布 | 改札(有人改札口)にて駅員が紙媒体の遅延証明書を配布している。手渡ししている場合、トレイに走っていて「ご自由にお持ちください」のような場合がある。 |
Web上で発行 | 鉄道事業者の公式ホームページにて遅延証明書を発行。ダウンロードまたは印刷することが可能。 |
遅延証明書の発行基準は鉄道事業者によって対象異なるものの、定刻とりおおむね5~10分以上の遅れが発生した時。
1本の電車でも遅れた場合は遅延証明書が出される。各駅停車(普通列車)のみならず、特急・急行・快速などのすべての列車種別が対象。
遅延理由に関して関係ない。人身事故や天候不順、線路設備や車両故障などから、混雑等による停車時間超過、踏切内点検、線路内点検、乗客救護などのいずれも対象。
駅改札口にて配布の紙媒体をもらう
駅で配布される紙切れの遅延証明書
- 改札口にて駅係員が配布
- 該当駅を乗り降りしている人しか入手できないため、効力(信用性)が大きい
最もオーソドックスなのが、下車駅の改札口にて駅係員が配布している紙媒体の遅延証明書をもらう方法。
駅係員が直接手渡ししている場合もあれば、トレイのような容器に遅延証明書と記載された紙切れが入っていて、ここから「ご自由にお持ちください」のような感じで取る場合がある。
乗降客数が少ない駅では前者、乗降客数が多い大規模な駅では後者が一般的。
遅延証明書と言っても、見た目は単なる紙切れのようなもの。
それでも、電車の延着を証明するものであるのは確か。
Web上で発行
駅で配布される紙切れの遅延証明書
- Web上でダウンロードまたは印刷
- 誰でも入手できるため、効力(信用性)がやや低い
- 一部の会社・学校では認められていない事例も
もう1つの方法が鉄道事業者の公式ホームページにて掲載される「遅延証明書」。
電子版ということで、インターネット上にて掲載される。
これをダウンロードするか、または印刷することで「遅延証明書」として会社や学校へ提出することができる。
なお、遅延証明書が掲載されるのは電車の遅れは生じた鉄道事業者のホームページ上。異なる他社では掲載されない。
例えば、埼京線(JR東日本)の遅延証明書は東京メトロや東武鉄道のホームページ上では掲載されず、あくまでも運行会社であるJR東日本のホームページでのみ掲載される。
異なる鉄道事業者間にて相互直通運転を行っている場合でも、自社線内で遅延が生じた場合のみ掲載される。
乗り換えをした場合
ここで1つ注意点がある。それは、遅延した路線から平常運転の路線へ乗り換えした場合である。
乗り継ぎ先が同一の鉄道事業者であれば、下車駅でも駅係員に申し出て遅延証明書をもらうことができる。
一方で他社線だと不可能。遅延した路線と同一鉄道事業者の駅にてもらう必要がある。
同一鉄道事業者間で乗り換えの場合
乗車駅 | 経路(利用路線) | 下車駅 | 遅延証明書の発行有無 |
---|---|---|---|
北千住駅 | JR常磐線 (日暮里駅にて乗換) JR山手線 |
池袋駅 | ○ |
中目黒駅 | 東京メトロ日比谷線 (茅場町駅にて乗換) 東京メトロ東西線 |
西船橋駅 | ○ |
横浜駅 | 東急東横線 (日吉駅にて乗換) 東急目黒線 |
目黒駅 | ○ |
同一の鉄道事業者同士で別の路線に乗り換えた場合は、目的地の下車駅の改札または窓口で遅延証明書を発行してもらうことができる。
例えば、北千住駅から日暮里駅までJR常磐線、日暮里駅から池袋駅までJR山手線で移動した場合で、常磐線にて遅延が発生した場合は池袋駅にて遅延証明書をもらうことが可能。
山手線等が平常運転なら駅改札では直接配布はしていないため、駅係員に常磐線を利用した故を申し出ることでもらえる。
乗車駅も下車駅も同じJR東日本という鉄道事業者のため、下車駅にて遅延証明書が発行できる。
直通運転、改札内乗り換え
乗車駅 | 経路(利用路線) | 下車駅 | 遅延証明書の発行有無 |
---|---|---|---|
春日部駅 | 東武スカイツリーライン (北千住駅経由) 東京メトロ日比谷線 |
秋葉原 | × |
海老名 | 相鉄本線 (羽沢横浜国大駅経由) JR埼京線 |
新宿駅 | × |
横浜駅 | 東急東横線 (渋谷駅経由) 東京メトロ副都心線 |
池袋駅 | × |
異なるの鉄道事業者同士で別の路線に乗り換えた場合は、別の鉄道事業者の路線に乗り換える前に改札口まで行って駅係員から遅延証明書を受け取る必要がある。
目的地の下車駅が他の鉄道事業者の場合だと遅延証明書は発行できない。
例えば、春日部駅から北千住駅を経由して秋葉原駅まで行く場合、春日部→北千住は東武スカイツリーライン、北千住→秋葉原は東京メトロ日比谷線となる。
異なる鉄道事業者ということで、東武スカイツリーライン内での遅延があった場合は東武鉄道の駅にて遅延証明書を受け取る必要がある。
直通運転を行っているが、日比谷線直通列車には遅れがなくて、東武鉄道内だけで遅延は発生している場合は、東京メトロの駅では遅延証明書はもらえない。
東武スカイツリーライン内にて遅延が生じ、それが日比谷線の区間でも定刻より5分以上の遅れは出ているまま走っている場合なら、東京メトロの駅でも遅延証明書がもらえる。
全体的に大規模なダイヤの乱れが出ている場合は直通先でも配布していることがほとんどだが、小規模な遅延では遅延対象の鉄道事業者の駅にてもらうのが確実ではある。
Web遅延証明書の取得期限
インターネット上にてダウンロードまたは印刷できるオンライン遅延証明書には取得期限がある。
首都圏とそれ以外の地域で大きく異なる。
首都圏
- JR東日本:過去45日分
- 小田急電鉄:遅延発生当日から7日間
- 京王電鉄:遅延発生当日を含む8日間分
- 西武鉄道:遅延発生当日から35日間
- 東武鉄道:遅延発生当日から30日間
- 京成電鉄:遅延発生当日を含む35日間分
- 東急電鉄:遅延発生日を含め1カ月間
- 京浜急行電鉄:遅延発生当日を含む7日間分
- 東京メトロ:過去35日分
- 都営地下鉄:HPの掲載から35日間
近畿地方
- JR西日本:過去45日間
- 阪急電鉄:遅延発生当日から7日間
- 阪神電鉄:遅延発生当日から7日間
- 京阪電鉄:遅延発生当日から7日間
- 近畿日本鉄道:遅延発生当日から7日間
- 南海電鉄:遅延発生当日から7日間
- 大阪メトロ:遅延発生当日から35日間
東海地方・九州地方
- 名古屋鉄道:オンライン発行無し
- 名古屋市営地下鉄:遅延発生当日から7日間
- 西日本鉄道:遅延発生当日から8日間
- 福岡市営地下鉄:遅延発生当日から7日間
振替輸送を利用した場合も延着証明可
単なる数分の遅れだけでなく、運転見合わせとなった場合なで他社線の振り替え輸送を利用した場合も、本来利用する路線が定刻通りに運転できていないということで遅延証明書をもらい、それを会社・学校に提出することができる。
並行路線がある地域では「振替輸送」がある。
振替輸送は、すでに利用を開始している乗車券、回数券、定期券と運転見合わせの鉄道駅にて配布している振替乗車票で対象の他社線を追加料金なしで利用することができる。
振替輸送が平常運転であった場合でも、本来乗る予定だった鉄道事業者の駅では遅延証明書を配布している。
ここで遅延証明書を受け取れば効力が維持される。別の路線を使ったからといって遅延証明書の効力が無効になるわけではない。