関東地区の首都圏を走る電車の多くは4ドア車となっている。大阪を中心とする関西や名古屋では3ドア車が多いが、どうして東京近辺だけ扉数が他の地方よりも1つ多いのか。それには理由がある。
高度経済成長期から日本では人口が東京へ一極集中が加速する傾向にある。首都圏の人口は増加し続けている。それに伴い、鉄道を利用する人も多くなった。一番の課題は輸送力の強化となった。
4ドア車なら乗り降りがスムーズ
そんな中、ラッシュ時には満員電車となって乗客の乗り降りに時間を要するようになった。駅で乗り降りに時間がかかるようになれば、列車が遅れる原因にもなってしまう。そこで、対策として多くの電車の扉数を4つにするようにした。
扉数が4つであれば3つの場合よりも乗降に時間がかからなくなり、スムーズな乗り降りができるようになる。
従来、山手線などのように都市部だけを走る通勤電車では4ドア車が利用されてきた。JR(旧国鉄)で言えば103系や201系だ。一方、近郊型の車両には113系や115系、211系が使われてきたが、いずれも3ドア車である。
しかし、近郊路線においても利用者数が増えたことによっ乗降時間もダイヤに影響を与えないわけではなくなってきた。そこで、新しく導入する車両には4つ扉を設けることとなった。JR化後に作られたE231系やE233系がその例だ。
なぜ首都圏だけ?
関西や中京圏においては、あまりラッシュ時の混雑度が激しいわけではない。3ドア車であっても乗り降りにかかる時間はそれほど長くならなく、輸送力の強化が最優先課題ではないという点が、首都圏とは違う点である。
ほかの地方の場合、輸送力よりもサービスの質の向上が優先的な課題となっている。JRと私鉄が並走するところも多いため、沿線の鉄道利用者を獲得するための競争が起きている。
より多くの利用者を集めるために必要であると考えられたのが、座席の数を確保することと、電車の速達性である。1人でも多く座れるようにするという考えが、サービスの質の1つといえる。
一方の首都圏の場合は、座れる人数よりも可能な限り多くの乗客を1度に輸送させることが求められてきた。そのため、座れる人の数ではなく立って乗る人を増やして1両に人を積み込むことに重点が置かれている。
こうした背景から、首都圏では4ドア車が主流になっているのである。