JR埼京線の運行本数が少ないのは確かである。他の路線と比べても、乗客が多くて混雑するという特徴を持っている割には運転間隔が長すぎて不便であると判断できる。もっと増発してほしいという声が出て当然だろう。
もともとは東北新幹線の建設に伴う通勤新線として開業した国電の鉄道路線であり、当初は新幹線建設と同じく付近の住民は猛反対していた。ところが、いざ通勤新線である埼京線が開通すると瞬く間に利用者数が急増していった。
今日では特にラッシュの時間帯は混雑度が激しい路線として知られている。埼京線がなければ生活が成り立たないという人も多いのではないだろうか。
それでも本数は少なすぎる!
ところが、需要に対して列車の本数は少ない。ラッシュ時間帯もそうだが、日中の時間帯でも決して多くはない。デイタイムの場合、新宿以北は毎時9本(各停6本・快速3本)運転されているが、これは中央線や総武線、京葉線などに比べると少ない。
宇都宮線・高崎線・東海道線と同じくらいであるが、京浜東北線という各駅停車としての性質を持つ路線が並行して走っていることを考えると、埼京線の1時間当たり9本という数は少ないといえる。
しかも、新宿以南の場合は日中は毎時3本しか走っていない。すべて東京臨海高速鉄道りんかい線直通の快速だけである。各駅停車はすべて新宿止まりとなっている。上記の画像の時刻表はJR東日本の新宿駅の埼京線南行のものであるが、見てわかる通り3本/時となっている。
毎時3本という本数というと20分間隔で来るという計算になる。これは、東海道線の小田原駅より熱海側、宇都宮線の小金井駅より宇都宮側、あるいは千葉県内の房総ローカル区間並みの運行本数だ。
もちろん、利用者数が少なくて需要がないということはまったくない。常に多くの乗客が埼京線の電車に乗っている。ただ供給が足りていないだけなのは確かだ。
湘南新宿ラインと共用のため?
埼京線にはほかの路線にはあまりない事情がある。それは、湘南新宿ラインと線路を共用しているという点だ。
池袋~大崎の区間では複線の線路を埼京線と湘南新宿ラインの2つの系統が乗り入れている。しかも貨物列車も時々走る。線路容量には限界があり、電車を常に高頻度で走らせられる環境とは言い難い。
埼京線単独で線路を独占するわけにはいかないため、他路線ほど電車の本数を増発することはかなり難しい。
とはいえ、それでも本数は少ないと判断できる。湘南新宿ラインは日中は4本程度しか運転されていない。埼京線と合計しても13本だ。私鉄などでは日中でも20本近く走らせているケースもあるため、これが多いとは言えない。
ここで気になるのが、遅延時の影響の大きさだ。どちらかの路線で列車に遅れが出ると、もう一方の路線にも影響が出てダイヤが乱れてしまう。そうなれば復旧に大幅な時間を要する。
需要があるとはいえ、問題も多く発生しやすい環境となっていることもあって、あまり増発できないのが埼京線の事情と考えられる。