大阪メトロの運賃は高いと思っている人は多いだろう。初乗りの料金は180円となっていて、全体的に値段が割高になっているのは確かだろう。値下げしてほしいという声も少なくない。
地下鉄そのものは建設費が高くて、地下水や雨水の排水といったランニングコストが従来の鉄道よりもかかるため、地上を走る鉄道会社と比べると割高になってしまうケースが多い。
しかし、それらを考慮しても大阪地下鉄の運賃は高い。利用者数が多いことも考えると、料金の値段には疑問を感じてしまうかもしれない。
運賃が高い理由としては?
大阪メトロでは、南海トラフ地震の対策費用に巨額なコストがかけられている。津波対策や免震構造のための工事にお金がかかっているのは否定できない。
地上を走る他の鉄道会社の場合、線路は地上または高架橋の上を走るケースがほとんどなため、津波対策の費用は掛からない。線路や駅構内が浸水したりする可能性はそれほどない。
揺れへの対策も、地下ではないために従来の建物と同じ程度のもので十分対応できる。追加的なコストがかからないため、運賃はその分抑えることができる。
また、路線そのものができたのも戦後になってからのことである。中には今里筋線のように最近になって完成したものもある。新しくできた路線は、建設コストが今の物価になってから工事が行われたため、莫大なコストがかかっている。
建設の際の借金の返済も残っている。そのため、これらの負債の回収のための費用も運賃に上乗せしなければならない。
さらに、現在はなにわ筋線という新たな路線の建設も予定されている。これにも莫大なコストがかかることが予想されている。当面は値下げできない理由が整っていると考えてよいだろう。
東京の地下鉄はどうして安い?
東京メトロ、都営地下鉄のような首都圏の地下鉄事業者はやはり大阪メトロよりも割安な運賃体系となっている。初乗りは東京メトロが160円、都営地下鉄が170円となっている。
どちらも新しく完成した路線を持っているのは確かである。ただし、乗客の数に関してはかなり違ってくる。東京となると、大阪市よりも人口そのものが非常に多い。
1編成あたりの車両数については、大阪メトロの場合は10両編成で運転されているのは御堂筋線のみだが、東京メトロ・都営地下鉄の場合は、東西線・千代田線・半蔵門線・有楽町線・副都心線・都営新宿線というようにかなり多い。
輸送人数が多いということは、その分運賃収入自体が多いということを意味する。割高な料金に設定しなくても自然と黒字になる。
人口が多い首都圏ならではの事情があるからこそ、大阪メトロの運賃よりも安くできているのだ。