のぞみ/ひかりでも車内販売が廃止になる可能性とは!?

車内販売を継続するのぞみ号とひかり号

東海道山陽新幹線ののぞみ号とひかり号でも車内販売が廃止になる可能性はどれくらいあるのか。売上高や乗客の多さ、乗車時間から考察。

結論を言うと、特に1日を通して乗車率が高いのぞみ号では車内販売が終了する可能性はかなり低い。取扱品が縮小することはあり得るものの、全面的に撤退される見込みは薄い。

すでに車内販売が廃止または縮小している他の新幹線の路線、あるいは各駅停車型の種別であるこだま号と比べると売上が低迷していて赤字の状態には決してなっていない。


のぞみ号・ひかり号で車内販売の終了の確率は低い

車内販売が継続される背景
主な理由 詳細な内容
乗車時間が長い のぞみ・ひかりともに乗車時間が長い。長距離利用者が多く、その分車内販売を利用する意欲が高い。
全区間を通して乗車率が高い のぞみ号は特に全線を通して乗車率が高い。東海道区間、山陽区間のいずれも乗客が多いため、潜在的な需要が残る。
ビジネス客が多い 東海道山陽新幹線は大都市圏を結ぶ性質からビジネス客が多い。価格の安さよりも利便性を求める需要がある。

多くの新幹線や在来線特急で車内販売が廃止または縮小している背景の1つには人手不足があり、これだけは東海道山陽新幹線ののぞみ号やひかり号でも避けられない事情ではある。

それでもまとまった需要があるため、供給をやめるほどにまでは至らりにくいのも確か。

乗車時間が長い

のぞみ号もひかり号も乗車時間が長い種別の列車である。特にのぞみ号は長距離輸送を担う種別のため、近距離しか乗らない人はかなり少ない。

乗車時間が長い列車であるほど車内販売を利用する人は多い。途中で食べ物や飲み物をほしくなる確率が上がるため、それに伴って車内販売で商品を購入する事例が増え、売上高が伸びる。

のぞみ号の中での所要時間が片道あたり2時間以上になる区間は次になる。

  • 東京~新大阪:約2時間30分
  • 東京~広島:約4時間
  • 新大阪~博多:約2時間30分
  • 名古屋~広島:約2時間15分

いずれも大量の乗客が利用する区間である。車内販売の売上高が低迷するには至らない構造が出来ている。

ひかり号はのぞみ号よりも運転区間が短いところが多いことから、距離にするとそれほど長くはない人も一定数いる。

東京~静岡の利用が目立つが、この場合だと乗車時間は1時間程度にとどまる。車内販売の売上が伸びる要素にはなりにくい。

それでも停車駅が若干多めのひかり号でも、東京~新大阪の利用者はかなり多い。(価格差は『「のぞみ」と「ひかり」の特急料金の差額』にて解説)

価格の面でものぞみ号より安いため、あえてのぞみを避けてひかりを選ぶ人もいる。

この場合は車内販売の利用率が増え、廃止にするほど売上高が低迷するには至りにくい。

全区間を通して乗車率が高い

のぞみ号・ひかり号ともに全区間を通して乗車率が高い。

のぞみ号は東京~博多間の全線、ひかり号も東京~新大阪間では1日を通してガラガラ状態と時がほとんどない。

のぞみ号/ひかり号/こだま号の座席ごとの混雑状況

のぞみ:自由席(平日)自由席(休日)指定席

ひかり:自由席指定席

こだま:自由席

他の新幹線だと利用客が集中するのは大都市圏の一部の区間に限られるケースもある。

例えば、東北・上越・北陸新幹線は首都圏エリアに集中する。九州新幹線も福岡エリアに集中する。反対側の端部は空いていて乗車率が1日を通して低い。

一方の東海道新幹線と山陽新幹線は下り側の端部の乗車率も比較的高い。広島~博多間も本数こそは少ないが、空席が多いかというと少ない。

乗車率が高ければその分車内販売を利用する潜在的な需要も高まる。売上高が低くて縮小や廃止を検討するところよりも実績が好調なのは間違いない。

ひかり号も山陽新幹線内の新大阪~博多間は本数がかなり少ないものの、車内販売を実施している通過駅の多い便では乗車率が高い。

車内販売が廃止されたのは、あくまでもこだま号と同じ性質を持つ各駅停車に近い便に過ぎない。

ビジネス客が多い

新幹線に乗るビジネス客

全国的にみても東海道新幹線の東京~新大阪、山陽新幹線の新大阪~博多はビジネス客が多い。旅行などで利用する個人客よりも仕事の外回りや出張で利用する法人客が多い印象だ。

のぞみ号も長距離輸送という性質がある一方、ここでもビジネス客が多い。平日の車内や駅ホームを見てもスーツ姿のビジネスマンが目立つ。

価格の安さを重視して事前にコンビニなどで食べ物・飲み物を購入するするという手段をとる人が多いのは否定できないが、ビジネス客は車内で簡単に購入できるという便利さも重視する人が少なくない。

仕事の都合から時間的に余裕がない人も多く、駅構内でコンビニでじっくり飲食物を購入するのは難しい事例もある。

車内販売は乗車中に買える仕組みから、そのように時間がない人でも手軽に利用できるというメリットがあり、車内販売を維持できるほどの売上へとつながっている。

なぜこだま号だけ車内販売が終了?

車内販売が廃止されたこだま号

それでは、なぜ同じ東海道山陽新幹線の中でもこだま号では車内販売が廃止されて終了となったのか。

理由は以下の2つのポイントがある。

こだま号だけ車内販売が廃止になった背景

  • 近距離輸送が中心
  • 乗車率が低い(空いている)

参照:こだま号だけ車内販売がない! なぜ廃止になったのか?

こだま号は各駅停車のため、利用者層を見てもほとんどは近距離利用者である。乗車時間は30~60分程度の人がほとんど。東京~小田原、浜松~名古屋のように、乗車区間が短い人が目立つ。

東京~名古屋・新大阪のようにまとまった距離のある大都市間を移動する人はこだまには乗らない。

車内販売があっても利用する人がかなり少ない状態であった。現在では終了済の理由ではまず、このような乗客の乗車区間が短いのが1つ目になる。

乗車率そのものも低い。

空席が最も少ない区間は新横浜~小田原間であるが、それでも自由席でさえ通路側の座席は空席となっていることがよくある。

静岡駅以西の区間となれば、こだま号は空席ばかりとなっている。のぞみ・ひかりが満席の状態でもこだまではガラガラという事例も結構見られる。

乗車率が低ければ、車内販売を利用する潜在的な需要が下がる。のぞみ号・ひかり号よりも赤字に陥る構造ができているのが理解できるだろう。

これこそが、こだま号で車内販売が終了した理由の2つ目である。

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