山陽新幹線の区間および列車ごとの最高速度を調査。路線全体の最高速度は300km/hだが、実際にはこれよりも低い部分がある。全線・全列車で飛ばせるわけではない。
新大阪~姫路駅付近までは275km/hに抑えられている。さらに、いくつかの部分でさらに減速しなければならないところがある。
のぞみ、ひかり、こだま、みずほ、さくらのような列車種別による違いはないが、車両ごとでは違う。
300km/h運転ができるのはN700系のみ。500系、700系は285km/hにとどまる。
山陽新幹線の区間・列車ごとの最高速度
区間 | のぞみ | みずほ・さくら | ひかり | こだま |
---|---|---|---|---|
新大阪~新神戸 | 275km/h | 275km/h | 275km/h | 275km/h |
新神戸~姫路付近 | 275km/h | 275km/h | 275km/h | 275km/h |
姫路付近~博多 | 300km/h | 300km/h | 285-300km/h | 285-300km/h |
※主な減速箇所 ・徳山駅 |
山陽新幹線の最高速度300km/h。種別ごとの違いはない。
◎各列車ごとの最高速度
※ひかり・こだまは300km/h運転未対応車両が主力のため。
ただし、車両の種類によっては300km/h運転ができないものもある。主にひかり号とこだま号に割り当てられる500系と700系の2つ。
500系と700系は最高速度が285km/hに規制。
300km/h運転ができるのはN700系(16両編成・8両編成の両方)のみ。
新大阪~姫路付近
山陽新幹線の新大阪~姫路駅付近までの区間の最高速度は270km/hに規制されている。
全列車に共通し、速達列車であるのぞみ号、みずほ号でも300km/h運転は未実施。
これは、六甲トンネルと神戸トンネル内の勾配(10‰)があってしかも距離が長いことに加え、西明石~姫路間に半径3,500mのカーブが2か所あるためとされている。
さらに、駅間距離も長くはない。新大阪~新神戸は30km程度しかなく、どちらものぞみ号を含む全列車停車の駅である。
下り列車の場合、300km/hまで加速できる最初の地点は姫路駅の東側2.5kmの地点からである。
姫路駅を通過する列車はここから本格的に高速運転をスタートさせる。
姫路付近~博多
姫路駅の東側2.5km地点~博多駅までは、山陽新幹線の最高速度は300km/h。
線路の規格そのものも基本的に半径4,000m以上(新幹線規格)となっている。高速運転ができる環境が整っている。
0系や100系が主流だった時代には、山陽新幹線の設計速度は250km/hだったが、それに比べて今では大幅に向上している。
300km/hを実施しているのはN700系シリーズ。16両編成と8両編成の2パターンがあるが、最高速度はいずれも同じ。
一方の旧式車両である500系と700系では、最高速度は285km/hに抑えられている。
700系はそもそも設計速度が285km/hと低く抑えられたことから、300km/h運転に未対応。
500系は1995年にのぞみ号にて300km/h運転を実施するために導入された車両だが、今となっては300km/h運転に必要な設備が取り外されてしまった。
このため、現在はN700系とは違って最高速度は285km/hに規制。
主な減速箇所
山陽新幹線では減速余儀なくされる部分が結構存在する。
減速箇所 | 制限速度 | 理由 |
---|---|---|
徳山駅 | 170km/h(500系・700系) | 半径1,600mの規格外の急カーブがあるため。車体傾斜がない500系と700系は170km/hまで減速。 |
185km/h(N700系) | N700系は車体傾斜があるため、曲線通過速度は本則+15km/h。185km/h以下で半径1,600mを通過。 |
徳山駅の急カーブ
徳山駅構内は新幹線規格であるはずの半径4,000mを大幅に下回る規格外のカーブが存在する。
ここは半径1,600m。曲線通過速度の本則は170km/h。車両ごとに制限速度が決まっている。
N700系は車体傾斜装置が付いているため、曲線通過速度は本則+15km/hとなっている。
このため、徳山駅のカーブは185km/hで通過する。
車体傾斜装置がない500系と700系は本則通り170km/hで通過する。
もともと現在の徳山駅には新幹線ホームが設置されない方向で工事設計が進められていたものの、地元の強い要望によって後から駅設置のためにルート変更を行った。
急所ルートが変わったため、本来なら半径4,000m以上でなければならないところ、例外的に急カーブで対処した結果、今のように半径1,600mというきついカーブになった。
山陽新幹線では最も大幅な減速を強いられる部分となっている。
山陽新幹線の最高速度の歴史
年 | 最高速度 | 改良内容 |
---|---|---|
1972年 | 210km/h | 山陽新幹線開業。0系運転。 |
1986年 | 220km/h | 100系登場でダイヤの見直し(国鉄末期の改革) |
1992年 | 270km/h | 300系と「のぞみ」登場。東海道新幹線と同時に引き上げ。 |
1997年 | 300km/h | 500系登場。500運転のぞみで最高速度引き上げ。 |
2007年 | 300km/h(種別関係なく) | N700系登場で、N700系で運転される全列車の最高速度引き上げ。 |
山陽新幹線が開業した1972年の最高速度は210km/hだった。当時は東海道新幹線が開業した1964年から使用されている0系が割り当てられていた。
100系の登場もあって国鉄時代末期の1986年には220km/hに引き上げされた。これでも、当初山陽新幹線で想定されていた250km/h運転が未実施だった。
1992年には300系が登場。これに合わせて「のぞみ」新たに設定された。これに合わせて最高速度は東海道・山陽新幹線の両方で270km/hに引き上げられた。
1997年にさらにスピードアップが可能な500系が登場したことで、直線が多い山陽新幹線に限って300km/hに最高速度が引き上げられた。
その後登場した700系は製造費用の観点から最高速度が285km/hに抑えられた。
2007年から登場したN700系では再び300km/h運転対応が復活。これにより、のぞみ号以外でも順次300km/h運転が可能になった。
他の新幹線の最高速度の事情
路線名 | 速度 | 種別ごとの補足 |
---|---|---|
東海道新幹線 | 285km/h | のぞみ、ひかり、こだま みずほ、さくら、つばめ |
山陽新幹線 | 300km/h | |
九州新幹線 | 260km/h | |
北海道新幹線 | 260km/h | はやぶさ、 やまびこ、なすの |
東北新幹線 | 275-320km/h | |
秋田新幹線 | 130km/h | |
山形新幹線 | 130km/h | |
上越新幹線 | 240km/h | |
北陸新幹線 | 260km/h |
参照:新幹線の最高速度を地図化! 路線と区間ごとにすると!?
他の新幹線の区間と列車ごとの最高速度の事情について解説。