大阪メトロ(Osaka Metro) と東京メトロの違いとは何か。どちらも地下鉄の会社で「メトロ」という名称がついていることから、2つはほぼ同じだと考えている人が少なくない。
しかし、実際にはまったくの別会社で、互いに何かの関係があるわけでもない。名前だけがメトロとなっているだけ。
大阪メトロの前身は大阪市営地下鉄である。大阪市が運営していた公営地下鉄を民営化したものである。
東京メトロの前身は帝都高速度交通営団である。一般的には「営団地下鉄」と呼ばれていた。国と東京都が共同で運営していた公企業である。
どちらも民営化されたが非上場
大阪メトロも東京メトロも民営化されたが今のところは非上場という点では同じである。
大阪市営地下鉄は2018年3月に消滅、営団地下鉄は2005年3月に消滅したものの、どちらも株式上場は行われていない。
ただし、将来的にはどちらも株式公開を目指している。国や自治体は株式を売却することを予定している。
国鉄がJR化され、東日本・東海・西日本・九州の4社は株式上場を果たして完全に民営化された。このような形に将来的にはなる見込みとなっている。
違いはこんなにある
大阪メトロ | 東京メトロ | |
線路幅 | 1,435mm(標準軌) | 1,067mm(狭軌)が基本 |
相互直通運転 | 御堂筋線・堺筋線・中央線のみ | 丸ノ内線・銀座線以外全て |
路線網の範囲 | 原則大阪市内 | 原則23区内 |
初乗り運賃 | 180円 | 165円 |
一方で大阪と東京では同じメトロでもこんなに違いがある。
路線網の範囲が大阪市内や東京23区内にほとんど限られている点では共通するが、線路の規格や他社との乗り入れの実施状況で違いがある。
運賃と経営状況に違いあり
初乗り運賃も大阪が180円に対して、東京は165円となっている。さらに東京メトロは切符とICカードで料金が異なる。大阪は切符もICカードも値段は同じ。
各路線の収益性にも大きな違いが見られる。
東京メトロは全路線で黒字となっている。大阪メトロでは赤字路線がいくつか抱えている。今里筋線・千日前線・長堀鶴見緑地線・ニュートラムの4つは赤字になっている。
ドル箱路線と呼ばれているのは御堂筋線くらいに限られる。四つ橋線・中央線・谷町線・堺筋線は黒字だが、利益が高いというわけではない。
線路の幅はメトロでも違う
線路幅は大阪メトロの場合はすべての路線で1,435mm(標準軌)となっている。これは新幹線と同じ規格であり、関西の私鉄の多くもこれを採用している。
東京メトロはJRの在来線と同じ1,067mm(狭軌)の線路幅となっている。1,435mmの標準軌を使っているのは銀座線と丸ノ内線のみとなっている。
関東地方の私鉄のほとんどが狭軌を採用していることに加えて、それらの路線との相互直通運転を前提に多くの地下鉄路線が建設されている。
これに合わせるため、大阪市とは違って東京メトロでは1,067mmが主流となっている。銀座線と丸ノ内線は早い時期に開業したための例外といえる。
相互直通運転も東西で異なる
郊外の私鉄との相互直通運転に関しても、東京メトロでは銀座線と丸ノ内線以外のすべての路線で私鉄やJR線への乗り入れを実施している。
しかも1つの路線で2社以上の鉄道事業者と乗り入れを実施しているところも少なくない。例えば、副都心線は東武・西武・東急・横浜高速鉄道の4社と相互直通運転を行っている。
大阪メトロは相互直通運転には消極的な姿勢が見られる。御堂筋線が北大阪急行と、堺筋線が阪急千里線と、中央線が近鉄けいはんな線と乗り入れているが、それ以外は単独路線となっている。
北大阪急行と近鉄けいはんな線に至っては、郊外を走る私鉄というよりは、大阪地下鉄の延長線上という性質が強い。
大阪市外になるためやむを得ず別会社にしているという構図になっている。
なお、東京都心部では東京メトロとは別に都営地下鉄という地下鉄もある。こちらはさらに別物であり、完全な公営地下鉄となっている。
東京メトロと都営地下鉄にも違いがあり、大阪メトロとも全く無関係である。