つくばエクスプレスではすべての電車でワンマン運転を行っている。開業した2005年当初から車掌が乗務していない。なぜこのように乗務員が最後尾の車両に乗っていないのか。
他の鉄道会社を見ると、ほとんどで車掌が必ず乗務している。運転士だけの「ワンマン運転」を実施しているのは田舎のローカル線くらいというイメージが強いという人も多いはず。
都心直結型の主要な路線で車掌がいない路線はごく一部に限られている。その1つがつくばエクスプレスとなっている。
ワンマン運転の最大の理由とは?
つくばエクスプレスにおいてワンマン運転を行っている理由は、ホームドアの存在である。秋葉原~つくば間の全駅には必ずホームドアが設置されている。
小さな駅にも付いていて、使用頻度が少ない待避線であっても100%整備されている。しかも、これは開業した2005年から付いている。
車掌が乗務するツーマン運転を行っている鉄道会社や路線では、ほとんどでホームドアは整備されていないところが多い。一部では設置完了しても、それがない駅も存在する。
例えば、JR山手線や京浜東北線では一部の駅ではホームドアが設置されていない。東京メトロでも、一部の路線では整備が進んでいないところがある。
車掌の役割とは、発車時の安全の監視が1つとなっていて、ホームドアがない駅ではこれが重要な任務となっている。
ホームドアがあるところでは、物理的に人が線路上に転落したり動いている電車と接触する危険性がかなり低いため、運転士のみで問題ない。
電車の駅への到着時と発車時の安全の確保ができているからこそ、つくばエクスプレスではワンマン運転ができる環境となっている。
電車は自動運転だから
また、運転士の仕事が軽減できていることもワンマン運転が可能となっている要因であるのも事実。
通常、運転士の業務は電車の操縦である。電車のノッチ・ブレーキの操作を行い、加減速と指定場所へ電車をうまく停止させる作業を行っている。
つくばエクスプレスの場合は自動運転となっている。ノッチ・ブレーキ操作はすべて自動で行われ、運転士はドアの開け閉めと発車のボタンを押すだけが業務である。
この自動運転は「ATO(自動列車運転装置)」と呼ばれている。ワンマン運転には欠かせない装置である。
つくばエクスプレスと同じように都市部でワンマン運転を行っている路線として、東京メトロ副都心線や南北線、丸ノ内線、都営三田線などがあるが、多くでATOが備わっている。
ATOがない例でも、駅に停車する際のブレーキ操作は自動で行われる「TASC」が付いていることが多い。
ワンマン運転を実施している東急目黒線・池上線・多摩川線がこれに当たる。
いずれにせよ、電車の運転の自動化が少なからず実現されていることが、ワンマン運転が行える理由の1つとなっているのは確か。