JR中央線快速は今のところ15両編成での運転がまったく行われていない。なぜ短い10両のままとなっていて、長編成化しないのか。
首都圏の5放射路線の中では、中央線だけが唯一15両のダイヤが存在しない路線となっている。
都心と郊外を結ぶという点では同じ東海道線・総武線、東北本線(宇都宮線・高崎線)、常磐線ではいずれも15両編成が主流となっている。
中央線には緩行線と快速線の2種類があり、黄色の電車とオレンジ色の電車それぞれ短距離・中距離を走る。しかし、いずれも10両編成の状態となっている。
快速でも近距離輸送が中心
中央線の場合、快速であっても近距離輸送が中心となっている。基本的には東京~高尾間だけの運転がメイン。
他の5放射路線はいずれも中長距離輸送がメインとなっている。例えば、東海道線はほとんどが小田原駅や熱海駅まで乗り入れている。宇都宮線も宇都宮駅、高崎線は高崎駅まで乗り入れている。
一方の中央線は東京都内で完結している。高尾駅から西側の山梨県側では中距離電車として別の電車が走っている。オレンジ色のE233系ではなく、211系という古い車両が使われている。
東京~高尾間は全区間が「電車特定区間」に指定されている。都市部ということを示すものであるが、他の近郊路線ではこの電車特定区間の外側まで走っている。
このことから、中央線快速は中距離電車ではなく近距離電車という性質を持っている。10両編成であるのと同時に、グリーン車やトイレは設置されていない。
完全に近距離輸送を担っているというわけだ。15両編成はあくまでも中距離電車として運転されている路線だけに限られている。
ホームの長さも短い
中央線で15両編成化させようとしても、実際問題としてはかなり難しいだろう。その理由がホームの長さにある。
中央線のホームは東京駅や新宿駅などの主要駅を含めて10両分にしか対応していない。長い15両となると、電車の端は確実にホームから外れてしまう。
有効長がないため、中央線の快速電車を15両に増強しようとしても無理な話というのが現状なのは間違いない。
その代わり本数が多い
その代わり、中央線快速は他の路線と比べて圧倒的に本数が多く設定されている。朝ラッシュであれば2,3分間隔で電車がやってくる。
乗降時間に時間を要する新宿駅では、朝の時間帯は上りだけで2線を活用している。交互発着が可能となっているため、間隔を詰めて走ってもノロノロ運転や渋滞ができにくい。
15両編成の運転がないため、1つの列車当たりの輸送力はやや小さいものの、本数が多くすることで需要に対応しているのが中央線快速の特徴であろう。