JR中央線の三鷹~立川間では複々線化させる計画がある。長年にわたって工事を実施することを検討されてきたが、今になってもそれが完成する目途は立っていない。
御茶ノ水~三鷹間ではすでに複々線化が完了している。この区間では中央線快速と中央総武線各駅停車が走っている区間である。
三鷹以西ではまだ複線のままとなっているため、黄色のラインカラーである緩行線のE231系は乗り入れず、基本的にオレンジ色のE233系のみとなっている。
快速といっても、実際に通過駅が設定されているのは中野以東のエリアのみとなっている。平日は特に中野~三鷹間でも各駅に快速も止まる。
複々線化が実現されれば、快速でもさらにスピードアップされる可能性が高い。そんなこともあり、完成を待ち望んでいる人は多い。
場所がないから地下へ?
中央線の三鷹~立川間の複々線かの都市計画は1994年にすでに決定している。すでに完成した連続立体交差事業もまた同時に決定された。
ただ、複々線化の計画は先送りされ続けている。その理由が、用地確保の難しさである。
複々線化を実施させるためには、新たに上下線の線路を追加で建設しなければならない。この線路を作れる場所がないのが、現状の中央線の走る部分の問題となっている。
複々線化を進めるとなると、追加分は地下へ建設する計画となっている。今の高架区間の真下に線路を建設する予定で、高架へは用地がないため作れない。
今の高架部分は緩行線となる見通しだ。すでに駅にホームが設置されているため、各駅停車として運転される場合に使われる。
地下区間は急行線として使われる。快速電車と特急などがここを走る予定だ。途中駅にホームは建設されない、または国分寺大きな駅だけにホームが作られる予定となっている。
なぜいつまで経っても着工されない?
複々線化のための工事が着工させる時期であるが、今のところはまったくといっていいほど決まっていない。
そもそも、中央線の複々線化の完成のための予算は約3,000億円ほどかかるといわれているが、これを負担する者がいないのも確かである。
複々線化は基本的に鉄道会社が進めていく。東京都などの自治体が主体だった連続立体交差事業とは対照的な形だ。
中央線はJR東日本が運行しているため、JR東日本が基本的には費用を賄わなければならない。しかし、これにかかる費用は安易に用意できない事情がある。
実際に複々線となったとしても、それに見合った旅客収入が得られるかどうかはわからない。確かに中央線は利用者数が多くて電車の本数も多い。
しかし、将来的には少子高齢化が進んで乗客の数が少なくなる可能性が大きい。東京一極集中といわれている中でも、長期的には人口減少の流れが加速するようだ。
そうなると、多額のコストをかけてまで複々線化を行うほどのメリットがないということになる。
費用対効果が得られるか不明だからこそ、JR東日本は中央線の三鷹~立川間の複々線化をためらっているわけだ。