名古屋市営地下鉄の運賃が高いと感じたことがないだろうか。初乗り料金が200円と鉄道の中ではかなり高額な値段である。
もっと値下げして安くして欲しいと感じている人も少なくない。特に頻繁に地下鉄に乗る人なら、少なくとも一度はこのような気持ちになったことはあるはず。
他の都市の初乗り運賃を見てみると、東京メトロと都営地下鉄が165円、大阪地下鉄が180円に設定されている。三大都市を構成する名古屋市が200円ということで、高いことがわかるだろう。
なぜ、これほど運賃が高い傾向にあるのか。そして、今よりも値下げすることはできないのか。
公営地下鉄だから
名古屋市営地下鉄は公営地下鉄だから特に初乗り運賃が高いというのが最もの理由なのが正直なところだろう。
公営地下鉄では、初乗り=200円というのがふつうのようだ。大阪市営地下鉄でも2014年以前は200円がスタートだった。
現在でも札幌、仙台、横浜、神戸、福岡の地下鉄はいずれも200円となっている。そして、どれも運営主体が政令指定都市である。
京都市営地下鉄に至っては、初乗り運賃が210円に設定されていて、名古屋市よりもさらに10円高い料金となっている。
公営地下鉄では、鉄道事業者が自治体ということでどうしても民鉄のような経営の合理化にはたどり着きにくい。
資本主義社会に基づいた競争とはならないこともまた、割高な価格となっている理由に挙げられる。
民営化が行われない限り、名古屋市営地下鉄は今後も現状のような高い運賃表が存在し続けると考える。
赤字路線は上飯田線のみ
なお、名古屋市営地下鉄は全体としては黒字経営となっている。赤字の路線は短距離しかない上飯田線のみとなっている。
東山線・名城線(名港線含む)・鶴舞線・桜通線はいずれも単独で黒字となっている。
2011年に野並~徳重間が新規開通した桜通線でさえ、全線だと黒字化が実現されている。
地方のローカル線だと、旅客収入があまりにも少なくて経営が赤字のため、やむを得ず料金が高く設定されているところが多いが、名古屋市営地下鉄はこの例には入らない。
経営はまったく悪くない。したがって、運賃が高く設定されている明確な理由があるわけではないのが本音ではないか。
もっとも、設備投資にコストをかけるとなるとその分運賃を高く維持しなければならなくなる。例えば、ホームドアの設置工事や新型車両の導入だ。
いずれも多額の予算がなければ実行できない。値下げよりも優先するべきだという声も一部にあるのも確かである。