JR山手線や京浜東北線ではなぜ15両編成にするといった長編成化を行わないのか。いずれも朝晩の通勤ラッシュの混雑がかなり激しい路線だが、短い車両数で運転している。
山手線ではすべての電車は11両編成で運転されている。京浜東北線はすべて10両編成。朝ラッシュのピークとなる7時台後半と8時台は2,3分間隔で電車が行き来している。
しかし、それでも超満員の状態が続く。需要と供給の関係を見てみると、圧倒的に供給力が不足していると誰もが感じるだろう。
ホームの長さが足りないから
山手線も京浜東北線も15両編成にはできない最大の理由はホームの長さの問題にある。それぞれ、11両、10両分までにしか対応していない。
12両以上を連結するとなると、どこかの車両はホームからはみ出ることとなる。
ホームの長さを延長すればいいのではないかと思うところだが、それに必要な用地が確保できるかというと、難しいというのが現状である。
線路周辺はすでに開発されているため、周辺の地権者に対して立ち退きを求めるのは不可能といえる。
山手線と京浜東北線の今よりもホームの長さを長くするのは無理に近い。したがって、15両編成も実現が不可能なのが現状としか言えない。
東海道本線や東北本線はなぜ15両なのか?
JR東日本で15両編成での運転を実施しているのは、東海道本線、横須賀線、東北本線(宇都宮線)、高崎線、常磐線、総武線である。
都心から郊外へ延びる路線だが、それよりも混雑が激しい山手線や京浜東北線の方が短いことがわかる。
すでに15両編成での運転を行っている路線は、国鉄時代から15両で走っている。かつては、朝のラッシュでは乗車率が250%を超えるような時代もあった。
今となっては複々線化が完成していて輸送力が改善しているが、高度経済成長期だった頃は大幅な供給力不足に陥っていた。
慢性的な混雑のために実施した対策が2つある。1つ目が複々線化で、もう1つが15両編成化だった。今と違って昔は土地にはまだ余裕があったため、複々線や15両運転のためのホームの延長が可能だった。