JR根岸線と京浜東北線の違いとは何か。いずれも同じ電車が走っていて運転系統は同じだが、なぜあえて別々の路線名を名乗っているのか。同一路線名にするとどんな不都合があるのか。
このような疑問を感じたことがある人は多いのではないか。大宮~横浜と横浜~大船で路線名が異なっている。
根岸線と京浜東北線の違いはここ
根岸線と京浜東北線の違いとしては、以下のような点が挙げられる。
内容 | 根岸線 | 京浜東北線 |
路線名 | 正式名称 | 愛称
(東海道本線・東北本線が正式) |
区間 | 横浜~大船 | 大宮~横浜 |
役割 | 東海道線のバイパス | 東海道線の緩行線 |
最高速度 | 95km/h | 90km/h |
並行路線の有無 | なし | あり
(東海道本線・東北本線) |
線路そのものは互いにつながっている。境界となっている横浜駅のホームを見ても、いずれにも違いは見当たらない。
しかし、路線そのものの性質や出来た背景は2者で大きく異なる。決して完全に性質が同じというわけではない。
根岸線は東海道本線のバイパス
根岸線が建設された背景には、東海道本線のパイパスという目的と貨物線の建設という目的があった。
横浜~大船間では東海道本線とは別ルートを通っている。磯子以北の区間の根岸線は臨海部を通っているが、この付近の製油所を出入りする貨物列車のための線路でもある。
桜木町~大船間では旅客電車に加えて貨物列車も運行されている。根岸駅は貨物駅でもあり、さらに本牧線との接続ポイントともなっている。
桜木町~磯子間は1964年、磯子~洋光台間は1970年、洋光台~大船間は1972年にそれぞれ開業した。
路線自体は比較的新しく、戦後の高度経済成長期に建設された路線である。このため、全線に渡って高架または切土上に線路が建設されていて、踏切は完全にゼロ。
東海道本線は東海道線と横須賀線が並行して走っている。これら2路線の正式名称は東海道本線で、線路は戦前からある。
京浜東北線は東海道線の各駅停車
京浜東北線 | 東海道線 | 宇都宮・高崎線 | |
正式名称 | 東海道本線・東北本線 | ||
旅客案内 | 京浜東北線 | 上野東京ライン | |
役割 | 各駅停車 | 快速 |
参照:京浜東北線vs上野東京ライン、何が違う!? それぞれ徹底比較
京浜東北線はあくまでも愛称に過ぎない。旅客案内上は「京浜東北線」という名前が使われているが、正式な路線名はあくまでも東海道本線(東京~横浜)、東北本線(大宮~東京)である。
路線の性質としては、東海道線・宇都宮線・高崎線の緩行線(各駅停車)という役割を果たしている。
東海道線などは主要駅にしか停車しない。一方の京浜東北線は小さな駅にも停車する。こまめに駅が設置されている点が大きな特徴といえる。
逆に言うと、東海道線と宇都宮線・高崎線は京浜東北線に対する快速電車という性質を持っている。
なお、上野東京ラインという名称があるが、これも愛称に過ぎない。京浜東北線とは違い、こちらは直通サービスの総称として使われている。