東急池上線はなぜ3両編成という短い車両数で運転されているのか。都心直結の路線としてはかなり短い。山手線と接続している五反田駅へ乗り入れているものの、他の路線とは違って地方のローカル線のような存在となっている。
都心直結の路線といえば、ほとんどが10両編成で運転されている。8両または6両編成となると、首都圏では短いといっても過言ではない。
東急多摩川線も同じく3両編成で運転されているが、こちらは蒲田と多摩川駅を結んでいるというわけで、都心直結型ではない。
都心直結の象徴ともいえるJR山手線と接続する鉄道路線としては、東急池上線の3両編成が最も短い編成となっている。
路線距離が短いから
東急池上線が3両編成でも間に合っている最大の理由は路線の距離も短さといえる。営業キロ数は10.9kmということで、かなり短いことがわかる。
路線の距離がなければ、その分えんせんの利用者数も少ない。東急池上線を使う人自体が少ないため、少ない需要に合わせて供給も少なくて済む。
大きな駅も池上線にはない。駅周辺に大きな商業施設が立地しているような大きな駅はなく、ターミナル駅の五反田駅もまた、山手線と接続しているものの規模はそれほど大きくはない。
都心部を走る地下鉄やそのほかの路線とも一切相互直通運転を行っていない。この点で、同じく距離が短い東急目黒線とは違う。
目黒線では、東京メトロ南北線と埼玉高速鉄道線、都営三田線と相互直通運転を実施していることもあり、6両編成となっている。
急行運転も実施されている目黒線とは対照的に、池上線では各駅停車のみとなっている。距離が短いために成り立っているダイヤなのは間違いないだろう。
長編成化の予定はない?
東急池上線の朝や夕方の通勤ラッシュを見ると、どの列車も混雑している。車内は満員となっていて、途中駅から乗ろうとするとやや窮屈感があるのは確かな事実だろう。
しかし、それでも大幅な輸送力不足には至っていない。他の路線だと、朝ラッシュとなると超満員で乗車率が200%近くへ達するところもある。
池上線はそのような「超満員」といえるほどの大混雑にはならない。3両編成でも十分の供給力となっているのは否定できない。
池上線のほとんどの区間で東急目黒線とJR京浜東北線と並行して走っていることもその要因に挙げられる。沿線の住民が池上線に殺到するような構図とはなっていない。
東急目黒線・JR京浜東北線という代替手段も複数用意されていることも、その要因の1つだろう。
目蒲線が目黒線へと移行したときに3両から6両に増強されたときのように、池上線でも6両編成化するべきだという意見も存在するが、需要と供給のバランスは成り立っている。
したがって、今後も従来の3両編成のままの状態が続くだろう。長編成化される見込みはほぼゼロ。