鉄道の気動車の燃費の目安について分析してみた。通常の「ディーゼルカー」では1リットル当たり800mくらいが平均になる。
近年ではバッテリーを搭載して電動駆動も用いるハイブリッド車も登場しているが、こちらの燃費は1リットル当たり1,000m、つまり1km前後が目安になる。
鉄道の場合は惰行運転もよく使われる。加速後のエネルギーをフル活用すれば、燃費は一気に向上するものの、加減速を繰り返す走りだと数百メートルで1リットルの燃料を消費する。
気動車の燃費の目安
気動車とは言っても、国鉄時代に製造された車両とJR化後の時代に作られた新型車両では燃費も異なる。
自動車と同じように近年開発された気動車は燃費が以前と比べて伸びている。単なるディーゼルエンジンだけでなく、電気駆動も用いたハイブリッド式の車両が近年は注目されている。
<気動車の燃料1L当たりの走行距離> | ||
車両 | 燃費 | 惰行運転を含む |
キハ58系 | 600m | 1km(平地) |
キハ110系 | 800m | 2km(平地) |
HB-E200系 | 1,000m | 2.5km(平地) |
※車両の燃費はすべて2両編成の場合で計算 |
エンジンを駆動して加速または定速運転を行っている場合、燃費は600~1,000m程度になる。
ただし、自動車とは異なって鉄道の場合は車重が非常に大きいため、一度加速するとそのまま慣性の法則を用いた惰行運転ができる。
惰行運転は単純に考えれば動力を使わないため燃料をほとんど消費しない。これを含めた場合の燃費は平地で1~2.5km程度になる。
使用される気動車の車両が同じでも、駅間距離や勾配の有無によっても燃費には違いが出てくる。次の駅までの距離が短くて加減速を繰り返す路線、山間部で上り坂が多いところでは当然悪化する。
意外と燃費は悪い
「鉄道=環境にやさしい乗り物」というイメージが広く浸透しているが、気動車の燃費を見るとまったくそうは感じない。
ディーゼルカーでは燃料は軽油が使用されるが、1リットルで多くても2km程度しか走らないということは、4kmは走るバスよりも燃費が悪い。
最近の乗用車の燃費が1リットル当たり20kmくらいにもなると思えば、気動車は環境に悪い乗り物となる。
それでも環境にやさしい
<交通手段ごとの燃費> | ||
交通手段 | 1台当たりの燃費 | 1人当たりの燃料消費量 |
鉄道(気動車) | 2km/L | 0.2L(乗客50人の場合) |
バス | 4km/L | 0.5L(乗客10人の場合) |
乗用車 | 20km/L | 1L |
※「1人当たりの燃料消費量」は20km移動したと仮定 |
ただ、鉄道の特徴として1編成の列車の輸送人員が多いという点がメリットになる。1列車で大量に人を運ぶことができるため、輸送効率が良いというわけだ。
車両1つ当たりの燃費は確かに良くないものの、乗客1人当たりの燃料消費量では圧倒的に乗用車やバスよりも少ない。
「鉄道=環境にやさしい」と言われる理由もここにある。人員の輸送効率がほかの交通手段よりも良いからこそ、二酸化炭素の排出量が少なくてエコの面で推奨されているのだ。
地方ローカル線だと環境破壊?
もっとも、地方のローカル線の場合は乗客そのものがほとんどいないことも珍しくない。1列車で乗客が数名という現象もある。都市部とは違ってほとんど空気輸送状態になる。
こうなると、輸送効率はかなり悪くなる。利用者数が少ないために、結果として自動車の方が環境にやさしいこととなってしまう。これも否定できない現実だろう。
もちろん、このような地方のローカル線となれば気動車だけでなく電車(電気モーター駆動の列車)でも大量の電力を消費するため、環境への負荷は大きくなる。