鉄道車両の1両当たりの値段は約1億400万円。1編成の場合だと約7~12億円くらいになる。(6~10両編成と計算)
ただし、実際には車両の種類や構成によって大きく違ってくる。
一般的な電車に当たる「通勤電車」であれば1億円ちょっとで済む一方、特急列車だとやや割高になる。
目次
1両当たりの平均価格は1億400万円
全国にて新造されている鉄道車両の1両当たりの平均価格は1億400万円。
2018年度には1,966両の車両が新規で製造された。その合計製造費は2,047億円。
これを割り算すると1.04億円という計算になる。
ただし、これには大幅に値段が高い新幹線車両も含まれる。通勤電車や在来線特急の車両はこれよりはもっと安い。
参考:鉄道の電気代の目安とは!? 電車1kmの運転で50~100円
通勤電車
通勤電車では、1両当たりの平均価格は1.02億円。
JRの在来線や私鉄など、新幹線用を除く電車は1両当たり1億222万円であった。こちらも1両当たりで電動車が1億175万円、制御車が9548万円であったのに対し、グリーン車が多い付随車が1億899万円であった
Business Journal、梅原淳/鉄道ジャーナリスト『新幹線1両の値段は1億円超?グリーン車は1.5倍?知られざる電車車両の秘密』
ここでの「電動車」とは、通勤電車でも動力を作り出すモーターがついている車両のこと。「付随車」とは動力無しの車両。各社両編成によって違いはあるが、おおむね半々ずつ設置されている。
JRと私鉄、あるいは地下鉄の車両での違いは特になく、あくまでもモーターの性能や車内装備によって多少違うだけにとどまる。
寿命に関しては、1日当たりの走行距離や最高速度によって異なってくる。JR近郊路線のように片道200km超を走るような場合では老朽化が早い傾向。
※新幹線に関しては『<型式別>新幹線の車両の値段を一覧化! 1両当たり最低2.7億円』にて解説。
特急列車
特急列車(在来線)の1両当たりの平均価格は概ね2億円。
代表的な車両の値段を挙げると、以下のようになる。
主な特急車両の値段
- E351系:1両当たり2億円
- 681系:1両当たり2億2,000万円
- 281系:1両当たり1億6,000万円
在来線という点では通勤電車と同じであるが、特急車両はトイレを設置したり、座席の値段が割高なこと、乗り心地や快適さを追求した設備もあって、1両当たりの平均価格は高め。
主な代表的な通勤電車の値段
鉄道会社 | 車両型式 | 1両当たりの値段 | 1編成の値段 |
---|---|---|---|
JR東日本 | E217系 | 1億2000万円 | 18億円(15両編成) |
JR東日本 | E231系 | 1億円 | 15億円(15両編成) |
JR東日本 | E233系 | 1億500万円 | 16億円(10両編成) |
JR東海 | 313系 | 1億5,000万円 | 9億円(6両編成) |
JR西日本 | 321系 | 1億円 | 7億円(7両編成) |
JR西日本 | 223系 | 1億2,000万円 | 9億円(12両編成) |
上記はJR本州3社の代表的な通勤電車の車両の値段を示した表。
JR東日本が割安な一方、JR東海、JR西日本の車両がやや高いのが読み取れる。
これは、車両に付加されている設備による違いと考えてよい。
快適性を重視すると割高に
JR東海の313系とJR西日本の223系、225系ではまず「ヨーダンパ」が設置されている。
これは高速走行時の揺れを防ぐ効果がある。JR東日本では上記のE217系、E231系、E233系のいずれにも設置されていない。(グリーン車はあり)
高速走行に力を入れる傾向のJR東海、JR西日本では、近郊型車両を中心に快適性を重視する特性から、同じ通勤電車という括りでも1.2~1.5億円ほどかかっている。
気動車(ディーゼルカー)は約1億6,000万円
気動車の値段
- ディーゼル気動車:1億2,000万円
- ハイブリッド気動車:1億8,000万円
気動車、あるいはディーゼルカーと呼ばれるタイプの内燃機関の鉄道車両は1両当たりの値段が1億6,000万円ほど。
電気とモーターで走る電車に比べると割高。
1両当たり1億6543万円というのは、車種としては新幹線の車両の1億5784万円をも上回っている。
Business Journal、梅原淳/鉄道ジャーナリスト『新幹線1両の値段は1億円超?グリーン車は1.5倍?知られざる電車車両の秘密』
気動車は基本的に1,2両で走ることが前提に製造されるケースが多いこと、ディーゼル機関がすべての車両に付いていること(付随車なし)なこともあって、1両当たりの値段が上がる。
しかも、最近では単なる気動車ではなく、電気モーターを付加したハイブリッド気動車が主流になりつつある。
地球温暖化防止や原油価格高騰を意識して導入されているが、ハイブリッド自動車と同じく、蓄電池やモーターを搭載する分値段が割高。
その影響もあって、以前よりも気動車の1両当たりの平均価格は上昇している。
もっとも内燃機関で走る気動車が走行する路線は非電化区間。鉄道の需要がない路線のため、製造する車両数も都市部の電車に比べて少ない。
ゆえに鉄道会社が設備投資にかける車両製造費も、気動車では数百億円といった単位にはならない。
機関車は約3~5億円
機関車の値段
- 電気機関車:3億8,354万円(交直流機関車:5億5,064万円)
- ディーゼル機関車:1億5,796万円
ところで、貨物列車や寝台特急を牽引する機関車はさらに値段が高い。
機関車でも電機とディーゼルの2つの動力があるが、こちらもそれぞれで価格は異なる。
電気機関車は4~5.5億円
電化区間を走る電気機関車の方が値段が高い。これは、通勤電車と気動車の違いとは対照的。
ディーゼル機関車は1.5億円ほどであるのに対して、電気機関車はその2倍以上の4億円弱という破格の価格。
直流電力、交流電力どちらの電力の供給を受けても運転可能な交直流機関車の価格が高く、1両当たり5億円を超える。
特に機関車を多く保有するJR貨物にとっては痛い出費になる。
ディーゼル機関車は1.5億円
ディーゼル機関車は相対的に安い。旅客用の気動車と大差ない。
電気機関車の方は、電力モーターを1つの車両で最大限のパワーを出すためにあらゆる設備を搭載する必要がある一方、ディーゼル機関車は単にエンジンを大型化するだけといっても過言ではない。
しかも、電気機関車は貨物列車を牽引する役割を果たす一方、ディーゼル機関車は主に貨車の入れ替えに使われるケースが多い。
つまり、国内で製造されるディーゼル機関車は小型のもの。出力が小さい機関車が主流のため、値段もその分安い。