JR東海の通勤型車両である311系が完全引退する時期はそろそろ来るのか。新型車両への置き換えと廃車がすべて実施されるのはいつなのか考察する。
国鉄の民営化後に最初に登場した311系は1989年から1990年にかけて製造された。東海道線の名古屋地区用の車両として使われている。
当初は「新快速」向けとして製造された。しかし、今では後継車の313系が主役になり、311系は旧式の車両として普通列車(各駅停車)での運用が中心となっている。老朽化も進んでいるのは否定できない。
311系の引退する時期
311系の引退する時期に関しては、2025~2030年には実施されると思われる。リニア中央新幹線が開業するころが目安になると予想する。
車両の更新を行って引き続き現役で東海道線を走ることも想定されるが、後継車の313系または315系(あくまで予想)が登場すれば、名古屋地区の東海道線では311系が置き換えの対象になる。
主な旧式車両 | 路線 | 主力車両 |
211系 | 中央本線、東海道線(静岡地区) | 313系 |
311系 | 東海道線(名古屋地区) | 313系 |
同じ時期に登場した車両として211系がある。こちらは中央本線、東海道線の静岡地区で運転されている。
いずれも1980年の終わりのころに登場した形式であり、登場から30年以上が経過している。
鉄道車両の寿命は30~40年くらいが1つの目安とされている。更新の工事を行って延命する例も多いが、東海道線の名古屋地区のように最高速度が120km/hのような高速路線では珍しい。
これを考慮すると、311系が置き換えられるのは2030年ころまでが1つの目安になる。
参照:JR東海の211系の引退はいつになる!? もうすぐ完全廃車か?
新快速での運転がない理由
311系による「新快速」や「特別快速」の運転がほとんどない理由として、以下が挙げられる。
- 加速性能に劣る
- 定速運転ができない
- 6両編成での運転ができない
311系の起動加速度は2.0km/h/sだが、これは現在の主力である313系の2.6km/h/sに比べて劣る。
定速運転の機能も311系には設置されていない。駅間距離が長い新快速・特別快速は一定速度で走り続けるところも多く、311系だと加減速を繰り返すような走りになってしまうというデメリットがある。
より速達性を重視した新快速・特別快速は加速性能も重要ということで、今では313系が主力となっている。
さらに、6両編成での運転ができないのも不都合なポイントだろう。新快速・特別快速は6・8両編成で運転される。需要が少ない時間帯では6両編成で運転されるが、8両編成では供給過剰になってしまう。
313系のほうが都合がいいこともあり、新快速・特別快速は311系での運転が原則としてない。