昔の国鉄と今のJRではどんな違いがあるのか。国営だった鉄道事業者が民営化されて私企業となったが、鉄道の運行のどこが変わったのか。
戦前は官営鉄道、戦後から昭和の終わりまでは日本国有鉄道という名前だった。アルファベットでは「JNR」と略されてきた。
1987年4月1日に国鉄は民営化されてJR各社へと分裂した。現在では、東日本・東海・西日本・北海道・四国・九州・貨物の7社に分かれている。
国鉄vsJR
国鉄 | JR | |
経営状況 | 全体的に赤字 | 本州3社は黒字 |
本数 | 首都圏、関西圏以外は少ない | 高頻度運転 |
速達性 | ほとんど考慮されず | 快速などが充実化 |
私鉄との競合 | 私鉄優勢 | JR優勢 |
地方部 | 運行を維持 | 廃線、経営分離 |
国鉄時代とJR時代の違いは、簡単に表にするとこんな感じになる。
全国均一に鉄道サービスを提供するという体系から、需要に合わせた供給を行うようになった。
鉄道サービスが大幅に向上
国鉄時代と民営化後のJRを比較した場合、乗客として一番感じたのは鉄道サービスの向上だろう。
鉄道利用者の多い都市圏では電車の本数が増えたり、所要時間の短縮化が行われた。
中でも私鉄との競合がある路線では、快速などの優等列車の増発が積極的に行われ、鉄道会社のシェアが私鉄優勢からJR優勢への情勢が変わったところが多い。
最高速度の引き上げも積極的に行われ、物理的なスピードの向上も推し進められた。国鉄時代は最高速度が95km/hが主流だったが、JR化後は120、130km/hへ引き上げられるケースが続々と出た。
首都圏では常磐線、総武線、東海道線などで快速を中心にスピードアップが実施された。
関西圏や中京圏では「新快速」という種別が導入され、並行私鉄を意識したダイヤが設定されるようになった。
赤字路線の廃止
社会的に最も有名な出来事といえば、赤字路線の廃止ではないか。地方の乗客数が少ない路線を第三セクター化して経営分離されたのも民営化の時期だった。
経営が合理化されて需要が大きい都市部での供給に集中的に投資されるようになり、都市部の人々には大きなメリットとなった。
その反面、地方の鉄道利用者にとっては悲惨な結果になった。国鉄から第三セクターとなったことのデメリットといえば、運賃の高さだろう。
- 都市部→恩恵を受ける
- 地方部→切り捨てられる
市場競争を意識しない国有企業だった頃は、運賃の値段はどこも同じような料金体系だった。赤字分は都市部の乗客が負担するという構造だった。
経営が分離されたことで、赤字路線は地方自治体が旅客収入では不足するランニングコストを負担するようになり、さらに運賃の値上げが実施された。
このように、都市部が恩恵を受けて田舎が切り捨てられたのが国鉄からJRになって起こった出来事である。