JR常磐線の取手以南で運転される快速にはグリーン車が連結されていない。この区間内だけを走る電車はE231系だが、4号車と5号車も普通車となっている。
グリーン車の連結があるのは取手駅以北まで乗り入れるE531系で運転される電車のみである。普通列車や特別快速がこれに当たる。
なぜ、常磐線のE231系にはグリーン車の連結がないのか。そんな疑問を感じたことがある人は多いだろう。
E231系の快速は近距離電車だから
常磐線でも、E231系で運転される快速とE531系で運転される普通・特別快速は性質的にはまったく違う。
走る線路については、E231系もE531系も同じ線路を走る。快速線を走り、停車駅も普通と快速では同じになっている。
しかし、運転区間は大きく違う。E231系は取手以南しかは知らない。これにより、常磐線でも近距離電車という性質を持つ。
グリーン車が連結されていないのもここに理由がある。走行距離が短いため、長距離向けの快適性を重視したグリーン車がない。
一方でE531系は土浦駅や勝田駅まで乗り入れる。中距離電車という役割を果たしている。宇都宮線・高崎線・東海道線などと同じである。
水戸方面まで乗り入れ、1つの列車の走行距離も長い。これによりグリーン車の需要もある。
E231系は直流区間のみ
ところで、常磐線のE231系は直流区間のみしか走れない。取手駅以北は交流区間に入る。乗り入れ区間が取手駅から都心部側に限られている理由はここにある。
E531系は交直流電車であり、直流区間でも交流区間でも走れる仕組みとなっている。だからこそ水戸方面まで走れる。
近郊型車両となっているのも、交流区間まで乗り入れて長い距離を走ることが前提となっているから。E231系は初めから直流オンリーということで、都市型の車両となった。
なお、常磐線各駅停車を走るE233系や209系も直流専用となっている。交流区間は走れない。
常磐線のグリーン車の需要は少ない?
常磐線の場合、他の路線と比べるとグリーン車はやや空いている傾向がある。満員になる頻度も他と比べると少ない。
理由は特急の運転にある。同じく北関東方面へ行き来する宇都宮線や高崎線では、特急の運転はあまり盛んではない。新幹線があることから、在来線は通勤路線という性質が強い。
高崎線はあかぎ号が走っているが、埼玉県内の停車駅が少なく、本数自体も少ない。ちょっと快適に鉄道を使いたい人はグリーン車を選ぶ。
常磐線では特急が1時間に2本程度走っている。速達型のひたち・停車駅多めのときわがあるが、確実に座りたい人はこれらの特急を選ぶ傾向が見られる。
料金自体は普通列車グリーン車の方が安いものの、所要時間が長いことで、他と比べると特急に流れる。
そんな傾向から、常磐線のグリーン車は比較的空いていることが多い。