九州新幹線の採算状況について、運賃による収入は赤字だという見方をしている人はそれなりに多い。料金がやや高いため、本当に黒字になっているかどうかは謎だろう。
みずほ・さくらは博多~新大阪間の区間に当たる山陽新幹線へ直通しているが、JR九州が管轄している九州新幹線はあくまでも博多~鹿児島中央間に限られる。利用者は山陽と比べると少ない。
実際には赤字なのか、それとも黒字となっているのか。そして、今後の採算状況は良い方向へ向かっていくのか、それとも悪い方向へ進むと予想されているのか。
一応は黒字となっている
九州新幹線単独では、今のところは黒字となっている。列車の運行にかかる諸経費よりも運賃による収入の方が上回っている。開業してからまだ歴史が浅いため、建設費の借金の返済は、鉄道運輸機構を通じて続いているのは事実。
しかし、それでも営業収支は黒字となっている。JR九州の中でも、鉄道事業としては収益性が高い路線となっている。
確かに開業当初は、運転区間が新八代~鹿児島中央間に限られていたこともあって、結構大きな赤字となっていた。せっかくの大規模な投資が無駄になる可能性も心配されていた。
現在では、九州新幹線が全線開業したことで、沿線の開発が進んだ。さらに、景気の回復などもあって観光産業も活発になり、新幹線を利用する人が増えた。
航空機との競合でも概ね優勢となっていることもあり、九州新幹線では黒字となっている。この点で、航空機との競合で劣勢に立たされている北海道新幹線とは対照的だろう。
九州新幹線が大きな収入源となっていることで、JR九州の鉄道事業単体も最近では良い方向に向かっている。
今後は赤字になるかもしれない?
しかし、将来的にも九州新幹線で黒字幅が拡大していくかどうかは不透明であるというのが本音だろう。
熊本地震や頻発する台風の影響で、沿線の人口が減っていくことが懸念されている。それに伴って、産業や観光が衰退していくかもしれない。
九州新幹線の周りの地域の活気が薄れていけば、いずれは赤字に転落してしまう可能性がある。建設費の借金の返済はできたとしても、JR九州自体の収益性が下がってしまうことも考えられる。
さらに、全国的に地方の人口減少が社会的な問題となっている。これは、新幹線の収益性にも大きな影響を与えている。東京一極集中が今後も続けば、首都圏のような都市部は問題ないとしても、九州地方を走る新幹線には悪い影響を与えてしまう。
したがって、今は黒字収支となっている九州新幹線であっても、今後は赤字になってしまう確率は決してゼロではない。