JR西日本の電車の車内放送はほとんどすべて車掌による肉声だが、どうしてアナウンスを自動放送にしないのか。
首都圏や大阪市地下鉄では自動放送による案内を行っているが、関西を地盤とするJR西日本では行っていない。
「次は○○」、「停車駅は○○、××、△△」といった放送は、関西のアーバンネットワークを含めて列車の後ろに乗っている乗務員である車掌が行っている路線がほとんどだ。
自動放送を導入しているのはワンマン運転を行っている地方のローカル線と阪和線の関空・紀州路快速くらいだ。それ以外では車掌が自分で放送を行っている。新快速も決して例外ではない。
コスト面が理由か!?
JR西日本では赤字のローカル線を地方に多く抱えている。収益性が悪いということで、会社全体の鉄道事業での利益は他のJR各社と比べると良いとは言えない。
そうなると、いくら利用者が多い路線であったとしても鉄道設備にあまりコストがかけられない。実際、JR西日本では新型車両の導入率が低く、国鉄時代に製造された古い車両を現役で多く使っている。
たとえば、103系や201系、113系、115系といった国鉄時代の1960~1980年代に作られた電車が今でも多く使われている。新型車両を投入しにくいという事情がその理由であり、いずれもJR東日本と東海では一部を除いてほとんど使われていない。
そして、自動放送についても導入されていない理由はここにある。採算がとれない路線が多く、沿線の人口が多い京阪神地区でさえも並行する私鉄各線との競争から儲けがあまり出ないためなのだ。
関空・紀州路快速は例外!
ただし、阪和線を走る関空・紀州路快速の場合は例外であり、使用している225系には自動放送が整備されている。日本語と英語の2か国語でアナウンスされている。
理由としては、関西国際空港という空の玄関口にアクセスしていることが挙げられる。外国人客が多く使う路線であるため、案内についてもわかりやすいものでなければならない。その対策として自動アナウンスの導入であったわけだ。
なお、同じ阪和線であっても各駅停車については自動放送はつけられていない。225系ではない旧式の通勤型電車が使われているためである。他の路線と同じようにすべて車掌による肉声アナウンスで案内放送が行われている。