JR東日本管内の東海道線には、快速電車の種類が2つある。1つ目は、上野東京ラインとして運用されることが多い「快速アクティー」である。もう1つのものは、湘南新宿ラインの特別快速だ。
「特別快速」と「快速アクティー」の2つの違いとは何か。
快速アクティーは品川、東京、上野を経由して宇都宮線、または高崎線に直通する場合が多い。いわゆる「上野東京ライン」として運用される。快速運転するのは藤沢~小田原間のみであり、直通先ではすべて普通列車となる。
湘南新宿ライン特別快速の方は、渋谷、新宿、池袋を経由して高崎線に直通する。すべての列車は東海道線内だけでなく、高崎線内でも快速運転を行う。
東海道線内でも所要時間が違う!
区間/所要時間 | 湘南新宿ライン特別快速 | 上野東京ライン快速アクティー |
横浜~大船 | 14分 | 14分 |
横浜~平塚 | 30分 | 30分 |
横浜~小田原 | 45分 | 47分 |
※湘南新宿ラインは戸塚駅にてポイント通過のため徐行運転 |
湘南新宿ラインの特別快速も快速アクティーも東海道線内の横浜~小田原間については、停車駅はすべて同じである。どちらも停車するのは、戸塚・大船・藤沢・茅ヶ崎・平塚・国府津である。
停車する駅がどちらも同じであるので、横浜から小田原にかけての区間では、多くの人はどちらにも違いはないと思うだろう。しかし、時刻表をよく見ると、所要時間が違うのがわかる。
湘南新宿ラインの特別快速は、横浜~小田原間の所要時間が標準で45分となっている。
一方の快速アクティーの所要時間は47分と、前者よりも約2分長い。もちろん、各列車によって異なる場合があるが、それでもかかる時間が明確に違う。
湘南新宿ラインは戸塚駅にて横須賀線の線路から東海道線の線路に切り替えるためポイント通過がある。
ここでは制限速度が45km/hの徐行運転になるが、それでも所要時間は横浜~大船間の快速アクティーと同じである。
東海道本線を走る快速アクティーは戸塚駅ではポイント通過の制限速度はかからず高速で走行できる。
もちろん、これらの数値はどちらの列車も途中の駅で特急の待ち合わせ等がないダイヤの場合である。
なぜ所要時間が違う?
湘南新宿ラインとして運用する列車と、上野東京ライン・東海道線として運用する列車の大他の設定方式が違うために、このように停車する駅が同じでも所要時間が異なるのだ。
<ダイヤ上で想定されている車両>
- 湘南新宿ライン=E231系
- 上野東京ライン=113系、211系(東海道線区間)
湘南新宿ラインについては、ダイヤの初期版ができた当時からすべての列車がE231系という最高速度120km/hで運転される車両が使われていた。
そのため、この速度性能が高い車両に合わせたダイヤ設定が行われた。
一方の品川駅・東京駅に乗り入れる東海道線の方については、もともと113系や211系といった旧式の車両が多く運用されていた。
最高速度はそれぞれ100km/h、110km/hであった。加速の性能に関しても、今の主力車両であるE231系よりも性能が低かった。
今のダイヤの基準もこれらの車両が活躍していた頃のものになっている。
ダイヤの設定もこれらの旧式の車両でも十分運行できるような設定しているために、高性能列車であるE231系に合わせたダイヤ設定が行われている湘南新宿ラインよりも所要時間が長めになっているのである。
現在においては、東京駅方面に行く列車もすべてE231系などの新型車両が使われている。したがって、性能的には湘南新宿ラインと同じような運転ができる。
しかし、ダイヤの設定の基準は以前のものを使っている。このため、同じ車両であっても東京駅方面、上野東京ラインに行く列車はあまりスピードを出さず、ダイヤの余裕が感じる運転をしている。