私鉄(民鉄)は全体的にカーブが多いが、その理由とは何か。JRと比べると直線が少なくて線形が悪いところがいくつもある。なぜ、くねくねと曲線が多くなるような設計となってしまったのか。
私鉄の中でも、戦前に開業した路線と戦後の高度経済成長期以降に完成した路線がある。踏切が多くて地上を走る路線の多くは戦前に開業した例が多い。
戦後できたケースでは、高架や地下を走る路線が多く、地上を走る例はあまり見られない。ただ、いずれの場合でもカーブが多く儲けられている。
そして、どちらかというと、戦前にできた古い私鉄の路線では、制限速度がかかるきついカーブが多数箇所あるところが少なくない。
私鉄は路面電車から始めったところが多い
私鉄では、開業したばかりの頃は路面電車だったケースが少なくない。このような事例では、いきなり今のような専用軌道を走る電車ではなかった。
歩行者や自動車が走る一般道に線路があり、鉄道と一般交通が道路を共有していた。そのため、速度はかなり遅く、高速運転を前提とした計画にはならなかった。
具体的な例を挙げると、首都圏では京王線、京急本線、関西では阪神本線がこれにあたる。そして、いずれでも線形はあまり良くはない。
路面電車の最高速度は40km/hであるが、これは今も昔も変わらない。鉄道としてはかなり遅いスピードであり、直線が求められることもなかった。
そのため、路面電車から始まった路線ではカーブが多く、スピードが維持できない原因となってしまった。
地域輸送がメインだったから
私鉄は、ある特定の地域に密着した鉄道会社となっているところがほとんどである。都市部の中心地から郊外へ放射状に延びる路線が多いが、営業キロ数はそれほど長いわけではない。
近距離輸送が中心ということもあり、かつてからあまり速達性は重視されてこなかった。直線を多くして高速運転ができるような設計にすることよりも、できるだけ工期を短くして早期開業を目指すことの方が優先された。
また、工事の際もコストがかかるような難所を避け、一番安く済むルートが選定された。起伏の激しい場所や人口密集地は避けて作られた。
そのため、線形が悪い設計となった例が多い。さらに、現在では速達化の弊害となっている場合でも、建設された当時は今のようなスピードがまったく求められていかなったところも多い。
カーブが多くても問題なかったという時代背景も、私鉄でカーブが多い理由の1つとなっている。