東急東横線と目黒線を比較してみた。2つの路線の所要時間や本数、混雑の激しさ、利便性について違いを見てみよう。それぞれどちらが優勢なのか。
東急東横線は、渋谷駅を乗り入れしている路線で、田園都市線と並んで東急電鉄の主要路線となっている。
また、みなとみらい線・東京メトロ副都心線と相互直通運転を行っている。副都心線を経由して、さらには東武東上線や西武池袋線へも乗り入れている。
東急目黒線は、目黒駅へ乗り入れていて、神奈川県寄りは日吉駅が終点。かつては目蒲線の一部だったものの、東横線の田園調布~日吉間の複々線化によって、目黒線という名称に路線名を変更した。
蒲田駅方面へ向かうのを廃止し、東横線の複々線区間へ乗り入れるようになった。同時に、東横線のバイパスという役割を果たすように変わった。
目黒駅からは東京メトロ南北線と都営三田線と相互直通運転を行っている。また、南北線を介して埼玉高速鉄道線へも乗り入れている。
所要時間はどちらもいっしょ
東横線と目黒線では、JR山手線と接続する都心部の駅が違う。前者は渋谷駅だが、後者は目黒駅。また、終着駅も前者はみなとみらい線の元町中華街駅だが、後者は日吉駅。
ただ、所要時間そのものはどちらもほとんど変わらない。各駅停車でも急行以上の優等列車でも、違っても5分も変わらないというところだ。
例えば、武蔵小杉→渋谷は特急で13分、急行で16分、各駅停車で19分(待避なしの場合)となっている。武蔵小杉→目黒も急行で13分、各駅停車で18分。
所要時間の違いについては、どちらも大差ないことがわかる。
都心方面ではどちらも方向的には同じであっても、目的地によって東横線と目黒線を使い分けるのが好ましい。
本数は東横線が多い
(本数/時) | 特急 | 急行 | 各停 |
東横線 | 4本 | 4本 | 10本 |
目黒線 | ― | 4本 | 8本 |
日中の1時間当たりの本数については、東横線の方が多い。特急・急行・各停の3種別の電車が走っているためである。
東横線では特急と急行がそれぞれ4本ずつ、各停が10本運転されている。合計では毎時18本という多さ。
対する目黒線は急行が4本、各停が8本というダイヤになっている。合計だと12本ということで、東横線と比べると本数が少ない。
特急という種別が走っていないことが大きな理由といえる。目黒線側は急行と各停しかないため、その分本数が少なく設定されている。
もっとも、首都圏の中では決して少ない本数ではない。平均して5分に1本走っているため、都会ならではの本数の多さといえるのは間違いない。乗車機会は多いのは確か。
混雑は東横線の方が激しい
電車の混雑度に関しては、東横線の方が激しい。10両編成または8両編成で運転されているが、特急だと終日に渡って乗車率が高い。
<参考元:東急電鉄『分散乗車とオフピーク通勤・通学にご協力ください』>
上下線のどちらも1日を通して乗客が多数乗っている。座席も満席になるため、途中駅だと座れないことが多い。
朝や夕方の通勤ラッシュとなると、かなりの乗車率となる。通勤特急と急行だと、ドア付近に立つと他の人と接するくらいのレベル。
対する目黒線は、それほどひどい混雑とはならない。日中なら、急行でも途中駅で座れることが多い。
通勤ラッシュの時間帯でも、他人と接するほど高い乗車率になることは稀。ダイヤが乱れた時などの異常時に限られる。
さらに、目黒線は路線距離そのものが短いため、混雑する区間と時間が短い。東横線の東京側半分程度の長さとなっている。
朝ラッシュのピークである7時台と8時台でも、都心ならではの満員電車となるのは大岡山→目黒間で、それ以外のところは車内空間にある程度の余裕がある。
利便性は東横線が優勢
利便性は圧倒的に東横線の方が優勢。渋谷と横浜を結んでいるため、都市間輸送という性質があるのと同時に沿線の住民の足ともなっている。
さらに、副都心線を介して新宿や池袋といった中心部へもアクセスしている。横浜と副都心線各所を結んでいるため、利便性はかなり大きい。
目黒線は都心の発着駅が目黒駅ということで、それほど大きな駅ではない。神奈川県内も終点が日吉駅ということで、大きなターミナル駅ではない。
途中の大きな駅といえば武蔵小杉駅くらいである。6両編成と短い車両数で運転されている理由もここにある。
東京メトロ南北線と都営三田線と相互直通運転を行っていて、これが利便性が後押ししているという部分が大きい。
ただし、東横線と比べるとJR東京駅方面へ向かう場合には便利な路線ではないか。