JR京浜東北線を延伸させるという計画は以前は存在していた。今の終着駅である大宮駅から高崎線の上尾駅辺り、あるいは宇都宮線の蓮田駅辺りまで延ばすという可能性があった。
しかし、今の現状を見ると京浜東北線を大宮以北まで延伸させる事業はまったく行われていない。
埼京線の上尾駅までの延伸の計画と同じように、京浜東北線の可能性もほぼゼロになってしまった。電車特定区間のエリアだけを走る今の運行形態は固定化され続けるだろう。
高崎線と宇都宮線の最混雑区間が大宮から北側の区間になっているが、これが解消される見込みは薄い。
湘南新宿ラインが代わりとなった
京浜東北線の大宮駅以北への延伸の代わりとなって実現したのが、湘南新宿ラインの開業である。2000年にできた直通サービスだが、大宮以南の区間でこれまでは貨物列車しか走っていなかった貨物線を旅客化したことで、線路容量が向上した。
朝や夕方の通勤ラッシュの混雑する時間帯に高崎線や宇都宮線にて列車の増発ができなかったのは、大宮~上野間の線路容量が原因だった。
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この部分では高崎線と宇都宮線の両路線の電車が線路を共有している。同じ線路をシェアする必要があったため、大きなボトルネックとなっていた。
東北貨物線を走る湘南新宿ラインができたことで、一部の電車を貨物線へ流すことができるようになった。
しかも、需要が大きい新宿駅や渋谷駅方面へのアクセスができたことで、利便性までも向上する結果となった。
京浜東北線はいらない?
仮に京浜東北線が高崎線または宇都宮線へ乗り入れて延伸されたとしても、実際に乗客がこれを利用するかどうかはかなり不透明なのも否定できない。
大宮駅から南側では各駅停車として小さな駅もの止まる京浜東北線に対して、高崎線と宇都宮線は大きな駅にしか停車しない。
上野東京ラインの開業もあって、大宮~東京間では快速のような役割を果たしている。普通電車という名称の種別でも性質的には急行列車だろう。
高崎線も宇都宮線も沿線の鉄道利用者は、大宮駅以外だと赤羽駅、上野駅、東京駅が乗り降りする人が多い。京浜東北線だけにホームが設置されている小さな駅を使う人は少数派。
このため、仮に高崎線と宇都宮線に京浜東北線が乗り入れたとしても、乗客は今と同じ普通電車を使う人が多い状態になる可能性が大きい。
したがって、京浜東北線の高崎線・宇都宮線への延伸計画の必要性が高いとは言えない。白紙化された状態になっている理由はここにある。