埼京線は全列車トイレなし! なぜ設置されていないのか?

トイレがない埼京線

埼京線の車両にはすべての列車でトイレが付いていない。理由としては、近距離電車かつ運行本数が多いことから費用対効果が低いことがあげられる。

JR東日本の首都圏エリアにおいて、在来線普通列車でも御手洗の設備があるのは中距離電車である。例えば、東海道線・宇都宮線・高崎線などである。

一方の埼京線と同じ分類に入る近距離電車は、かつて「国電」と呼ばれた路線。山手線・京浜東北線・京葉線・武蔵野線などと同じ。


埼京線にトイレがない理由

埼京線にトイレがない具体的な理由としては、以下のようにまとまる。

トイレ無しの理由 詳細な内容
近距離電車だから 埼京線の大崎~大宮の距離は37km。川越まで考慮しても53km。片道の道のりが比較的短い近距離電車に該当。
運行本数が多いから 埼京線は高頻度運転を実施。かつての「国電」路線であり、本数が多いことでトイレのために一旦下車しても支障が少ない。
費用対効果が合わない トイレの維持管理には多額の費用がかかる。必要性が高い中距離電車とは違って費用対効果が合わないのも要因の1つ。

湘南新宿ラインを構成する宇都宮線・高崎線・東海道線との違いはトイレの有無とも関係している。

これらが中距離輸送を担うのに対して、埼京線は近距離輸送を担っている。

>>【湘南新宿ライン】トイレは何号車に位置する!? 列車で違う?

近距離電車のため

埼京線の営業キロ数は約37km(大崎~大宮)である。これは完全に「近距離」という分類に入る。

トイレが付いている路線の中距離電車は片道100km以上走るところがほとんど。埼京線はその半分にも満たない。

直通先の川越線を含んだとしても、営業キロは約53km。これでもトイレを設置することが求められるほど長い距離とは言えない。

川越線そのものも、埼京線の赤羽~大宮が開業したことを契機に相互乗り入れを実施したわけで、あくまでも別の路線という性質が大きい。

一部の電車は東京臨海高速鉄道りんかい線に直通するが、それでも長い距離には達しない。

しかも埼京線からりんかい線へ行く人はそう多くはなく、JR側の乗り降り駅は新宿駅や渋谷駅の利用者がほとんど。長い距離を移動する乗客ではない。

運行本数が多いため

埼京線は日中でも1時間当たり9本は運転されている。

これは鉄道の中では「高頻度運転」に該当する。

どうしてもトイレに行きたい場合には、途中駅で一旦降りて用を足すという手段が選べる。

一方のトイレが設置されている中距離電車ではそういうわけにはいかない。

東京都心に近い地域なら本数が多いものの、郊外へ行くと本数が少ない。1時間に1本というエリアもある。

埼京線は本数が多いという背景があるため、トイレの必要性が低いと判断されている。

費用対効果が合わないため

トイレを付けるとなると、鉄道事業者によって負担となるコストは設置時だけではない。日々の維持管理にも多額の費用がかかる。

トイレのタンクの清掃や水の補充の作業が必要になる。

これらの管理のための費用が生じてまで列車内にトイレを設置する必要性が低いため、埼京線などの近距離電車に使われる車両はトイレ無しになっている。

もし仮に中距離電車と同じように片道100km以上の路線だったとしたら、おそらくトイレが全列車に取り付けられていただろう。

電車に乗る前にトイレへ

埼京線の列車内

埼京線を利用するのであれば、電車に乗る前にトイレに行っておくことを強くおすすめする。

もし電車に乗っている最中にどうしてもトイレに行きたくなってしまったら、途中の駅で降りるしかない。

もっともどこの駅でも改札内には必ずトイレが設置されている。

改札の外へ出る必要はまったくない。したがって、支払う運賃の合計が割高になることもない。

さらに、埼京線の場合は駅間距離が短い。中距離電車だと快速などで5分以上走り続ける区間があるが、埼京線は2,3分以内には次の駅に到着する。

快速・通勤快速は通過駅の設定があるが、それでも4,5分くらいが限度である。

駅間距離が長いことでトイレを心配する必要はないレベルだろう。

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