東京湾アクアラインは深刻なほど渋滞が多いが、その原因とは何か。車の流れが悪くなる理由を調査してみた。
結論を言うと、川崎浮島JCTの手前の上り坂、海ほたるPAの過剰な混雑がネックとなっている。特に土日祝の休日は行楽客で交通量が多く、渋滞へと発展する。
渋滞緩和のために近年は道路管理者であるNEXCO東日本などを筆頭にトンネル内にLEDのペースメーカーをつけるなどの対策を講じているが、まだまだ大幅な混雑緩和には至っていない。
アクアラインの渋滞の原因
原因 | 詳細 |
川崎浮島JCTの手前の上り坂 | 西行は川崎浮島JCTの手前は海底トンネルから一気に地上へ向けて上り坂、ここでの速度低下で後続車が詰まって渋滞へ。 |
海ほたるPAの混雑 | 東京湾の人口島の海ほたるPAは人気スポット。混雑によってPA入口から本線上まで車列ができるほど。 |
交通量が多い | ETCアクアライン割引によって交通量が増大。料金値下げで利用しやすくなった反面、渋滞が悪化。 |
東京湾アクアラインの渋滞が多い理由は、上の3点になる。
直接的な理由はやはりさばき切れる容量を超えた交通量であるが、速度低下の原因になる間接的な理由があるのは否定できない。
首都高速道路もまた渋滞が激しいところだが、東京湾アクアラインの場合は事情が異なる。
>>首都高の渋滞の原因とは!? なぜいつまでも解消されない?
上り坂による減速
東京湾アクアラインの西行の終点に当たる川崎浮島ジャンクションの手前は、海底トンネルから地上の出口に向けて上り坂になっている。
川崎浮島JCTの手間約1,2キロメートルの地点からは4%の上り坂が続く。ここで走行中の車のスピードが低下する。
数台であればその影響はほとんどないものの、交通量が多いと後続車も減速を強いられる。後続車は先頭を走る車よりも低い速度まで減速しないとぶつかってしまう。
車列が続くと徐々に後ろの方では速度低下が深刻になり、ついには最後尾辺りは完全にストップし渋滞となる。
土日祝の休日の夕方になると千葉房総エリアから東京近辺に帰る人達で一気に交通量が増えるため、トンネル出口付近の上り坂が原因の渋滞が発生する。
海ほたるPAの混雑
東京湾アクアラインの観光スポットでもある海ほたるPAは休日になるとかなり混雑する。
東京湾上の人口島で景色がきれいということで、初めて通る人から必ず立ち寄るところといっても過言ではない。
大多数の人が立ち寄るパーキングエリアのため、海ほたるPAの入口から駐車場へ入る車があふれるほどとなる。その車列が本線上まであふれる。
東京湾アクアラインは全線片側2車線のため、海ほたるPAの手前では左側の走行車線はPA入庫待ちの列になりやすい。
走行には支障が出てしまうため、これもまた渋滞の原因になりやすい。休日の午前中の東行でも同じく海ほたるPAを先頭にした渋滞が起こりやすい。
西行も東行も原因は同じである。
交通量が多い
東京湾アクアラインは近年ではかなり交通量が増大した。その最大の理由は「ETCアクアライン割引」である。
定価の場合、普通車だと2,320円(ETCあり)、3,090円(ETC無し)である。しかし、2009年からは千葉県の税金を投入してETC利用車を対象にアクアライン割引を実施している。
これにより普通車は通行料金が800円とかなり割安な料金に設定されている。割引率が大きい分、交通量が多くなった。
アクアライン開業当時は普通車で4,000円であった。これと比べると大幅に値段が下がったことになる。
>>なぜ東京湾アクアラインの通行料金が高い!? 3つの理由とは!
3,000~4,000円だった時代は東関東自動車道・首都高湾岸線、あるいは京葉道路を迂回した方が割安だったため交通量が少なかった。
値下げによる交通量が多くなった結果、東京湾アクアラインの渋滞が深刻になったと言える。そして、これこそが直接的な理由でもある。
渋滞緩和の対策
<アクアラインの渋滞対策> | |
該当区域 | 具体策 |
川崎浮島JCT | トンネル内の上り坂にLEDペースメーカーを設置。速度低下を防止。 |
海ほたるPA | 混雑緩和が困難。PA新設案もあるが、観光スポットで引き続き混雑が続くと見込まれる。 |
全線 | 料金の値上げも検討されている。実現すれば交通量が低下。 |
上り坂の渋滞は解消可能
東京湾アクアラインでは2013年から順次LEDランプを使ったペースメーカーを設置してきた。
川崎浮島JCTの手前の上り坂に速度低下を防止させるため、光が流れるようにランプを点灯させて上り坂でアクセスを踏むように促す設備を投入した。
その結果、渋滞が最も激しかった時期に比べると浮島JCT付近における東京湾アクアラインの渋滞は幾らか解消された。
NEXCO東日本によると、上り坂での速度低下による渋滞の発生頻度は50%減少、つまり半減したと公表している。
海ほたるPA
一方の海ほたるPAの混雑が原因である渋滞は未だに解消はされていない。行楽客が多くなる土日祝や大型連休になれば海ほたるPAを先頭にした渋滞が頻発する。
どうしても観光スポットの要素が大きいため、ペースメーカーの設置では全く対応できない。
新しいPAを近くに設置するという案もあるが、海ほたるPAこそが目的地なことには変わりないと思われる。ゆえに、渋滞の解消は困難と言わざるを得ない。
通行料金の値上げ
ETCアクアライン割引による通行料金の減収分はNEXCO東日本が自社で負担しているわけではない。千葉県が公的税金を投入していることで成り立っている。
今後は値上げされる可能性も示唆されている。もし通行料金が値上げになれば、交通量が減るのは確実。
土日祝でも浮島JCT手前の上り坂による渋滞が解消され、海ほたるPAを先頭にした渋滞も解消されると見込まれる。
実際、アクアラインの通行料金がが3,000~4,000円だった時代にはいずれも混雑はなく、スムーズに流れていた。
最も効果的な渋滞対策になるのは確実なものの、反対意見も多く殺到するのは避けられないだろう。