JR東海の平均年収は約700万円！ 職種・年齢ごとでも算出

JR東海（東海旅客鉄道株式会社）の平均年収は約700万円。賞与は年間5.15ヶ月分が支給（2020年度）。鉄道会社としては高い方に分類され、決して低い金額ではない。

陸運業全体としても上位クラスに入る。基本給はともかく、ボーナス支給額が多いことでも知られている。JR東日本とほぼ同じ水準。

実際のところは職種によって異なり、総合職とプロフェッショナル職では異なる傾向があり、前者が高くて後者が低い。事務系・技術系の違いはそれほどないと考えてよい。

公式の平均年収は736万円

JR東海の正社員・臨時従業員の平均年収は有価証券報告書にて公表されていて、2019年度では736万円という金額が出ている。

過去7年間ではいずれも700万円以上で推移している。

これには基本給・賞与・各種手当（時間外手当・都市手当・総合職手当など）などすべてが含まれている。

転職評判サイトでは「給料はかなり良い」「大手で安定している」といった内容が目立つ。

夏と冬の年2回のボーナスの水準が高い（半期で3か月分、合計6か月分）ことから、年収ベースでも同業他社よりも高い。

なお、この736万円は総合職・プロフェッショナル職のいずれも含んだ総合値である。新卒採用・中途採用の区分もなく、大卒・高卒の違いもまったく加味していない。

参考まで、JRグループ各社の平均年収の金額を上記にて解説する。

参考：大学発就職行『【早見表】JR東海の年収の目安を職種・年齢ごとに一覧化』

ボーナスは6.05ヶ月分だが

JR東海のボーナスは年間で基本給の6.05か月分が支給された。（2019年実績）

内訳は夏季賞与が3.0か月分、冬季賞与が3.05か月分。

例年も年間で5～6か月分前後で推移。鉄道業界では最高クラスの算定基準。

参考：＜一覧表＞鉄道会社のボーナスの支給額の実績

ボーナスの支給月数（何か月分か？）は総合職、プロフェッショナル職、アソシエイト職に関係なく全職種一律。

なお、JR東海の過去6年間のボーナスの推移は以下の表の通り。

概ね年間で6ヶ月分で推移しているのがわかる。

なお、新型コロナウイルスに見舞われた2020年度の賞与は年間5.15ヶ月分にとどまった。経営悪化に伴って、JR東海としては過去最悪の結果となった。

今後の見通しは不明。鉄道旅客収入が増えれば、賞与も元通りの6ヶ月分以上になるが、そうならない限りは厳しい。4ヶ月分台に落ち込む可能性もある。

他社と比較して

大手鉄道会社の年収の勢力図

JR東海は鉄道事業者では平均年収が特に高い。ホールディングス化している私鉄を除けば鉄道運行会社では最高値。

超大手企業であるが平均年収が700万円と低いのは、圧倒的に現業職が多いことが影響。

大卒・院卒の社員だけで構成されるような企業ではないことで、以外にも年収が低いように見える。

＞＞＜早見表＞鉄道会社の平均年収を各社ごとに一覧化

JR各社では最高

JRグループの平均年収

JR東海と並んでJR東日本も平均年収は700万円ちょっとで推移する。

しかし、金額はJR東海＞JR東日本。JR東海は東海道新幹線というドル箱路線を持つことで鉄道事業による収益が好調。それが給料にも反映されている。

JR東日本の不採算の例。社員の給料がJR東海に劣る要因の1つ。

JR東日本は首都圏エリアを網羅しているものの、地方部に不採算路線があることが影響。

確かに山手線を代表に首都圏の在来線、東北新幹線などは大幅な黒字である。しかし、地方部の在来線は大きなネックなのは否定できない。

JR西日本も京阪神地区こそは経営状況が良好だが、私鉄との競合は厳しい。

JR西日本は京阪神地区こそ好調だが、中国地方や北陸地方などで赤字の不採算路線を持つことで収益性が悪い。平均年収もJR東海には及ばない。

しかも京阪神地区でもJR西日本は多くの路線で私鉄との競合がある。これも収益性が落ちる主な理由。

JR西日本は600万円台、JR東海よりも約100万円ほど低い金額。JR九州、JR四国、JR北海道、JR貨物は平均年収が500万円台で、これらは約200万円ほど低い。

私鉄各社よりも高い

私鉄各社では、「○○ホールディングス」という社名で平均年収を公開しているところが少なくない。

西武・相鉄・阪急阪神・京阪・近鉄GPがその例。これらは総合職の一部の社員で構成されている企業のため年収は高い。

しかし、現業部門はそこまで給料が高くないため、現業部門を含めた平均年収はそれよりも150～200万円ほど低くなる。

企業そのものの収益性はJR東海の方に軍配が上がるため、本当に平均年収では私鉄各社にもJR東海の方が高い。

総合職

上記は総合職全般の年齢ごとの推定年収の目安である。

総合職は特に新卒採用の時点からJR東海の社員として働いている人がほとんど。中途採用がほとんどなJR東海ならではの光景。

勤続年数はかなり長くなりやすく、昇進のスピードも速いことから、年収も高い水準で推移。

ただし、就職難易度もかなり高いのは確か。新卒採用だと、実際に内定を獲得することが特に難しい職種として広く知られている。

事務系総合職

事務系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。

• 事務全般
• 営業・企画管理・関連事業・広報
• 総務・財務・人事

いずれも年収に関しては、仕事内容ごとの違いはほとんどない。

ただし、プロフェッショナル職との最大の違いは本社または支社での勤務が多いという点、全国転勤（首都圏・中部・関西および海外）が存在する点である。

各種手当が付く職種ということもあって、平均年収も同年代の中では高い水準に達する。

20代のうちは年収が400～500万円台で、他の大手企業と同じ。しかし、それ以降は上昇幅が大きくなる。

30代で早くも年収600万円以上になってくる人が主流派になり、最高だと900万円ほどになる。

40代からは年収1,000万円以上という社員も少なくないレベルになる。

50代になるとやや下がる人も出てくるが、それでも総合職だと年収1,000万円以上が平均値になると推定。

実際のところは各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、これらが1つの目安になる。

とはいえ、基本的に総合職は「幹部候補」という位置づけのため、JR東海のどんな職種よりも出世が速い。それに伴って昇給幅も大きく、年収の面で不満を持つ人は少ない。

技術系総合職

技術系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。

• 運輸（運行管理・輸送計画・運用計画・設備計画・教育・訓練管理）
• 車両・機械系統
• 施設系統（建設・保守・技術開発）
• 電気・システム系統（電気・信号通信・情報システム）

技術職においても年収は仕事内容ごとの違いはほとんどない。

プロフェッショナル職との違いは同様に全国転勤が存在する点である。勤務地はプロフェッショナル職と混合するが、異動の多さで異なる傾向がある。

列車の運行管理から技術開発、保守点検まで仕事内容は様々だが、年収の面では例外なく高い。プロフェッショナル職と比べても給料水準は特に高い。

40代からは年収1,000万円以上となる社員も総合職では目立つ。

事務系と同じく平均年収は同年代の中では高い水準に達する。

各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、上記の表が1つの目安になる。

プロフェッショナル職

参考：JR東海のプロフェッショナル職の年収とは!? 給料は高いのか？

プロフェッショナル職は新卒採用では大卒と高卒の両方がある。

総合職との違いは対象とする学歴の他に、転居を伴い転勤が原則ないこと、現場系の仕事内容が多い点が挙げられる。

他の鉄道会社では「現業職」と呼ばれているところもある。

昇進のスピードは総合職と比較すると遅い。そのため、同じ正社員という形でも平均年収はプロフェッショナル職は低い。

それでも、世の中全体としては決して低い給料水準ではなく、大手企業としても「並み」かそれ以上なのは確か。

＜参考資料：『鉄道統計年報』（国土交通省）＞

駅・車掌・運転士

JR東海、あるいは鉄道会社の仕事内容として真っ先にイメージするのがこの「駅・車掌・運転士」ではないか。

名前の通り、駅構内で働く駅員、列車乗務員である車掌・運転士はここに該当する。窓口でのきっぷ類の販売もここに当たる。

乗客と最も接する職種。総合職でも研修で業務を行うこともあるが、基本的にはプロフェッショナル職が主流。

深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容ということもあって、年収はプロフェッショナル職の中では高い方に入る。

20代で400万円台後半、30代で600～700万円、40代で800万円台、50代で700万円台後半になる人もかなり多い。

一方で現場第一線が職場ということもあって体力・精神的にきついのも確か。

技術職

プロフェッショナル職の「技術」は総合職の方と名前こそは似ているが、「駅・車掌・運転士」と同じく鉄道運行の第一線で働く例が多い。

接客部門にこそは携わらないものの、電車の運行のための技術的な仕事を行う。

保線などの土木工事、車両のメンテナンスなどが一般的にイメージが付きやすいが、これに該当するのは技術職。

技術部門こそは総合職とプロフェッショナル職の両方ともにあるが、プロフェッショナル職はその中でも特に現場に近いところで仕事が中心。

特に運輸、施設関係は列車の運転がない深夜の勤務が多い分野のため、深夜手当などで年収が上がりやすい。

深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容ということもあって、年収はプロフェッショナル職の中では高い方に入る。

20代で400万円台後半、30代で600～700万円、40代・50代で800万円台になる人もかなり多い。

技術系プロフェッショナル職も給料水準が高い反面、現場第一線が職場ということもあって体力的にきつい。

なお、採用区分は大卒・高卒のいずれもある。

アソシエイト職（エリア限定事務職）

アソシエイト職とは、他の企業だと「エリア職」、「一般職」と呼ばれるタイプの職種。

アソシエイト職に該当する仕事内容は以下が当てはまる。

• 事務全般
• 営業・企画管理・関連事業・広報
• 総務・財務・人事

事務系総合職と仕事内容が重複するが、最大の特徴はプロフェッショナル職と同じく転居を伴う異動が基本的にない点。

こちらはオフィスワークが多い仕事内容でプロフェッショナル職とは違って現場は少ない。

その一方で勤務時間がデイタイムのため各種手当が少ない。年収もJR東海の中では低い方に分類。

20代で400万円台前半、30代で500～600万円、40代で600～800万円台、50代で700～800万円台が相場と考えられる。

なお、同じエリア限定職でも事務職は大卒者が中心。

さらに女性の割合も大きい職種である。男性社員の割合はほんのわずか。

子会社は年収が低い

上記で取り上げたJR東海の年収の事情に関しては、グループ会社（子会社）は含まれない。

子会社の例として代表的な会社は以下の通り。

• ジェイアール東海不動産
• ジェイアール東海ツアーズ
• 東海交通事業
• 新幹線メンテナンス東海
• 新生テクノス
• 日本車輌製造
• 東海交通機械
• ジェイアール東海建設
• 双葉鉄道工業

いずれも基本的にJR東海本体と比べると社員の給料水準は低い傾向。

年収の違いがいくらくらいかというと、同年齢の平均値では100～250万円ほど安いと推定。

有価証券報告書には記載がないものの、JR東海本体のプロフェッショナル職やアソシエイト職よりも基本的に低い。

中でも完全100％子会社のところの年収はJR東海との格差が大きい。