JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)の平均年収は約650~700万円。
賞与は2020年度は年間4.19ヶ月分が支給(夏季2.69ヶ月分、冬季1.50ヶ月分)。コロナ前の2019年度は5.48ヶ月が支給された。
職種別では、総合職が約800万円(事務系・技術系)、プロフェッショナル職が約600万円(運輸職・技術職)と推定。最終学歴別では、院卒が800万円、大卒が約650万円、高卒が約550万円と推定。
鉄道会社としては基本給、賞与ともに標準かやや高い方に分類される。決して給料が低いものではない。陸運業全体としては比較的上位クラスに分類される。
公式の平均年収は622万円
年度 | 平均年収詳細金額 |
---|---|
2019年 | 6,622,158円 |
2018年 | 6,697,370円 |
2017年 | 6,758,258円 |
2016年 | 6,736,548円 |
2015年 | 6,742,652円 |
2014年 | 6,732,345円 |
JR西日本の正社員・臨時従業員の平均年収は有価証券報告書にて公表されていて、2019年度では約622万円という金額が出ている。
過去6年間ではいずれも650~700万円の範囲で推移している。600万円台後半と言えば分かりやすいだろう。
これには基本給・賞与・各種手当(時間外手当・都市手当・総合職手当など)などすべてが含まれている。
転職評判サイトでは給料水準に関しては「安くも高くもない」「ふつう」といった内容が目立つ。
基本給こそは低いとの声が多い。
それでも、夏と冬の年2回のボーナスの水準はやや高め(半期で3か月分、合計6か月分)ことから、年収ベースでは同業他社ではほぼ標準的な金額。
なお、この622万円は総合職・プロフェッショナル職(現業職)のいずれも含んだ総合値である。新卒採用・中途採用の区分もなく、大卒・高卒の違いもまったく加味していない。
JRグループの会社 | 平均年収の目安 |
---|---|
JR東日本 | 700~750万円 |
JR東海 | 700~750万円 |
JR西日本 | 650~700万円 |
JR九州 | 500~600万円 |
JR四国 | 530~560万円 |
JR北海道 | 500~550万円 |
参考まで、JRグループ各社の平均年収の金額を上記にて解説する。
賞与は年間4.19ヶ月分
JR西日本の賞与(ボーナス)は、2020年度は社員平均で年間4.19ヶ月分が支給、2019年度は年間5.48ヶ月分が支給された。
コロナ期間以前の平常時の賞与となった2019年度の場合、JR西日本労働組合は以下の金額を要求した。
- 夏季手当(基本給+エリア手当+扶養手当)の3.5箇月分
- 年末手当(基本給+エリア手当+扶養手当)の4.0箇月分
ここでは合計7.5ヶ月分なのがわかるが、実際は5.48ヶ月分にとどまった。例年も基本的にはこれに固定化されている。
なお、JR化後のこれまでの最高値は1997年の年間5.7ヶ月分だった。
総合職
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 350-400万円 | 20-25万円 | 65-75万円 |
25-29歳 | 400-500万円 | 25-30万円 | 700-90万円 |
30-34歳 | 500-650万円 | 30-35万円 | 100-120万円 |
35-39歳 | 600-850万円 | 35-40万円 | 100-150万円 |
40-44歳 | 600-900万円 | 35-45万円 | 120-180万円 |
45-49歳 | 650-1,000万円 | 40-55万円 | 120-200万円 |
50-54歳 | 700-1,000万円 | 45-60万円 | 150-200万円 |
55-59歳 | 750-1,000万円 | 40-60万円 | 150-200万円 |
上記は総合職全般の年齢ごとの推定年収の目安である。
総合職は特に新卒採用の時点からJR西日本の社員として働いている人が多い括りである。
勤続年数はかなり長くなりやすく、昇進のスピードも速いことから、年収も高い水準で推移。
ただし、就職難易度もかなり高いのは確か。新卒採用だと、実際に内定を獲得することが特に難しい職種として広く知られている。
事務系総合職
事務系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。
- 事務全般
- 鉄道
- 開発
- 営業・企画管理・広報
- 総務・財務・人事
いずれも年収に関しては、仕事内容ごとの違いはほとんどない。
ただし、プロフェッショナル職職との最大の違いは本社または支社での勤務が多いという点、全国転勤(近畿・中国地方・福岡および海外)が存在する点である。
各種手当が付く職種ということもあって、平均年収も同年代の中では高い水準に達する。
20代のうちは年収が350~400万円台で、他の大手企業と同じ。しかし、それ以降は上昇幅が大きくなる。
30代で早くも年収500万円以上になってくる人が主流派になり、30代後半だと600万円以上になるほど。
40代からは年収700万円以上という社員も少なくないレベルになり、管理職では年収1,000万円以上というケースもあり得る。
50代になるとやや下がる人も出てくるが、それでも総合職だと年収1,000万円前後が平均値になると推定。
実際のところは各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、これらが1つの目安になる。
とはいえ、基本的に総合職は「幹部候補」という位置づけ。JR西日本グループのどんな職種よりも出世が速く、それに伴って昇給幅も大きく、年収の面で不満を持つ人は少ない。
技術系総合職
技術系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。
- 運輸
- 車両・機械系統
- 施設系統(土木・建設・建築・機械)
- 電気・システム系統(電気・信号通信・情報システム)
- IT
技術職においても年収は仕事内容ごとの違いはほとんどない。
プロフェッショナル職との違いは同様に全国転勤が存在する点である。
勤務地はプロフェッショナル職と混合するが、異動の多さで異なる傾向がある。
列車の運行管理から技術開発、保守点検まで仕事内容は様々だが、年収の面では例外なく高い。プロフェッショナル職と比べても給料水準は特に高い。
大卒で入社間もない20代のうちは年収が350~400万円台で、他の大手企業と同じだが、経験を積むに連れて大きく上昇していく。
30代で年収500万円以上、40代からは年収700万円以上が相場。
40代からは年収1,000万円以上となる社員も総合職では目立つ。この点でも事務系・技術系のいずれも同じ。
事務系と同じく平均年収は同年代の中では高い水準に達する。
各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、上記の表が1つの目安になる。
プロフェッショナル職
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 300-350万円 | 20-25万円 | 40-60万円 |
25-29歳 | 350-400万円 | 25-30万円 | 50-80万円 |
30-34歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | 60-100万円 |
35-39歳 | 450-600万円 | 30-40万円 | 70-150万円 |
40-44歳 | 500-700万円 | 35-50万円 | 100-150万円 |
45-49歳 | 600-850万円 | 40-55万円 | 100-200万円 |
50-54歳 | 600-850万円 | 40-55万円 | 100-200万円 |
55-59歳 | 600-800万円 | 40-55万円 | 100-150万円 |
参考:JR西日本のプロフェッショナル職、年収はいくらが目安!?
プロフェッショナル職は新卒採用では大卒と高卒の両方がある。
総合職との違いは対象とする学歴の他に、転居を伴い転勤が原則ないこと、現場系の仕事内容が多い点が挙げられる。
他の鉄道会社では「現業職」と呼ばれているところもある。
昇進のスピードは総合職と比較すると遅い。そのため、同じ正社員という形でも平均年収はプロフェッショナル職は低い。
それでも、世の中全体としては決して低い給料水準ではなく、大手企業としても最低「並み」を満たすほどには収まる。
普通の企業の一般職は少なくとも給料水準は高い。
<参考資料:『鉄道統計年報』(国土交通省)>
駅務・車掌・運転士
JR西日本、あるいは鉄道会社の仕事内容として真っ先にイメージするのがこの「駅務・車掌・運転士」ではないか。
名前の通り、駅構内で働く駅員、列車乗務員である車掌・運転士はここに該当する。窓口でのきっぷ類の販売もここに当たる。
乗客と最も接する職種。総合職でも研修で業務を行うこともあるが、基本的にはプロフェッショナル職が主流。
深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容ということもあって、年収はプロフェッショナル職の中では高い方に入る。
20代で400万円以下と低いものの、30代で600万円、40代と50代で700万円台以上になる人もかなり多い。
一方で現場第一線が職場ということもあって体力・精神的にきついのも確か。
技術職
技術に属するプロフェッショナル職は総合職の方と名前こそは似ているが、「駅務・車掌・運転士」と同じく鉄道運行の第一線で働く例が多い。
接客部門にこそは携わらないものの、電車の運行のための技術的な仕事を行う。
保線などの土木工事、車両のメンテナンスなどが一般的にイメージが付きやすいが、これに該当するのは技術職。
技術部門こそは総合職とプロフェッショナル職の両方ともにあるが、プロフェッショナル職はその中でも特に現場に近いところで仕事が中心。
特に運輸、施設関係は列車の運転がない深夜の勤務が多い分野のため、深夜手当などで年収が上がりやすい。
深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容ということもあって、年収はプロフェッショナル職の中では高い方に入る。
20代で300万円台、30代で600~700万円、30代で600万円、40代と50代で700万円台になる人もかなり多い。
技術系もまた給料水準が高い反面、現場第一線が職場ということもあって体力にきついと感じる人も少なくない。
大卒・高卒のいずれも採用があるが、給料水準はそれほど違いは見られない。
契約社員
JR西日本では駅務や一部の乗務員を「契約社員」として採用していることが多い。
JR東日本やJR東海と比べても契約社員の割合が高い。
正規社員ではなく、あくまでも有期雇用という形のため、給料水準は低いと言わざるを得ない。
年収ベースでも20代こそは300万円ほどだが、30代でも高くて400万円台にとどまると見られる。
公式の年収の金額等が公表されていないため詳細は不明だが、正社員と比べると総合職・プロフェッショナル職のいずれよりも給料は安い。
JR西日本があえて契約社員を積極的に募集しているのは言うまでもなく人件費の削減のためだろう。
なお、JR東日本やJR東海ではそもそも駅務の一部をグループ会社(子会社)に委託しているのも確か。
子会社は年収が低い
上記で取り上げたJR西日本の年収の事情に関しては、グループ会社(子会社)は含まれない。
子会社の例として代表的な会社は以下の通り。
- JR西日本不動産開発
- ジェイアール西日本商事
- 日本旅行
- ホテルグランヴィア大阪
- JR西日本交通サービス
- 大鉄工業
- 広成建設
- JR西日本テクノス
- JR西日本コミュニケーションズ
- 西日本電気システム
- 西日本電気テック
- JR西日本ITソリューションズ
いずれも基本的にJR西日本本体と比べると社員の給料水準は低い傾向。
年収の相場の違いは、同年齢の平均値では100~250万円ほど安いと推定。
有価証券報告書には記載がないものの、JR西日本のプロフェッショナル職よりも基本的に低いと考えてよい。
中でも完全100%子会社のところの年収はJR西日本との格差が大きい。
給料だけでなく、福利厚生の充実度でも劣る可能性が考えられる。
分類 | 会社名 |
---|---|
JR | JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、JR四国、JR北海道、JR貨物 |
大手私鉄 | 京浜急行電鉄、東急電鉄、相模鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、西武鉄道、東武鉄道、京成電鉄、 阪急電鉄、阪神電気鉄道、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電鉄、 名古屋鉄道、西日本鉄道 |
中小私鉄 | 首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、東京モノレール、新京成電鉄、北大阪急行電鉄、神戸電鉄、広島電鉄 |
地下鉄 | 東京メトロ、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪メトロ(Osaka Metro)、神戸市交通局 |
第三セクター鉄道 | <第三セクター鉄道全体> |
関連会社(車両、信号) | 日本信号、京三製作所、大同信号、日本車輌製造、近畿車輛、総合車両製作所、東洋電機製造 |
関連会社(建設) | 東鉄工業、鉄建建設、第一建設工業、日本リーテック、名工建設、日本電設工業、新生テクノス |
その他関連 | 鉄道情報システム、独立行政法人鉄道・運輸機構(JRTT) |
職種別 | 駅員、新幹線の運転士・車掌、電車(在来線)の運転士・車掌 |
ボーナス | <一覧表>鉄道会社のボーナスの支給額の実績 |
(業界全体) | <早見表>鉄道会社の平均年収を各社ごとに一覧化 |