JR九州(九州旅客鉄道株式会社)の平均年収は約550万円前後で毎年推移。鉄道会社としては、首都圏や近畿地区のJR・私鉄各社と比べると低い水準。
陸運業全体としては平均的なランクに分類される。基本給は低いという声が多く、ボーナス支給額も並みレベル。昇給幅も比較的小さく、年功序列が根強い。
実際のところは職種によって異なり、総合職と専門職では異なる傾向。前者が高くて後者が低い。事務系・技術系の違いはそれほどないと考えてよい。
公式の平均年収は558万円
年度 | 平均年収詳細金額 |
---|---|
2019 | 5,581,013円 |
2018 | 5,503,932円 |
2017 | 5,396,131円 |
2016 | 5,647,662円 |
2015 | ー |
2014 | ー |
JR九州の正社員・臨時従業員の平均年収は有価証券報告書にて公表されていて、2019年度では約558万円という金額が出ている。
過去3年間ではいずれも500~600万円の範囲で推移している。550万円前後が平均的な金額となっている。
これには基本給・賞与・各種手当(時間外手当・都市手当・総合職手当など)などすべてが含まれている。
転職評判サイトでは給料水準に関しては「低い」「とてもJRとは思えない」といった内容が目立ち、本州3社と比べると確かに低い。
それでも、夏と冬の年2回のボーナスの水準はやや高め(半期で3か月分、合計6か月分)ことから、年収ベースでは同業他社ではほぼ標準的な金額。
なお、この558万円は総合職・専門職(現業職)のいずれも含んだ総合値である。新卒採用・中途採用の区分もなく、大卒・高卒の違いもまったく加味していない。
JRグループの会社 | 平均年収の目安 |
---|---|
JR東日本 | 700~750万円 |
JR東海 | 700~750万円 |
JR西日本 | 650~700万円 |
JR九州 | 500~600万円 |
JR四国 | 530~560万円 |
JR北海道 | 500~550万円 |
参考まで、JRグループ各社の平均年収の金額を上記にて解説する。
総合職
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 300-350万円 | 20-25万円 | 50-60万円 |
25-29歳 | 350-400万円 | 20-30万円 | 60-80万円 |
30-34歳 | 400-600万円 | 25-30万円 | 80-100万円 |
35-39歳 | 450-650万円 | 30-35万円 | 100-150万円 |
40-44歳 | 500-750万円 | 30-40万円 | 120-180万円 |
45-49歳 | 600-800万円 | 35-55万円 | 120-200万円 |
50-54歳 | 600-800万円 | 40-60万円 | 150-200万円 |
55-59歳 | 600-800万円 | 40-60万円 | 150-200万円 |
上記は総合職全般の年齢ごとの推定年収の目安である。
総合職は特に新卒採用の時点からJR九州の社員として働いている人が多い括りである。
勤続年数はかなり長くなりやすく、昇進のスピードも速いことから、年収も高い水準で推移。
ただし、就職難易度もかなり高いのは確か。新卒採用だと、実際に内定を獲得することが特に難しい職種として広く知られている。
会社全体での平均年収こそは500万円台だが、総合職に限っては1,000万円以上に到達している社員も少なくない。
それでも、本州JR3社(JR東日本・JR東海・JR西日本)と比較すると総合職でも給料は劣る。
事務系総合職
事務系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。文系出身者がほとんど。
- 鉄道営業・事業開発
- 企画管理・広報
- 総務・財務・人事
いずれも年収に関しては、仕事内容ごとの違いはほとんどない。
ただし、専門職との最大の違いは本社または支社での勤務が多いという点、全国転勤(首都圏・中部・関西および海外)が存在する点である。
各種手当が付く職種ということもあって、平均年収も同年代の中では高い水準に達する。
20代のうちは年収が300~400万円程度にとどまり、他の世の中の企業と同じ。一方で年齢が高くなるにつれて高くなるのは確か。
30代で早くも年収500万円以上になってくる人が主流派になり、30代後半だと600万円に近い金額になるほど。
40代からは年収700万円以上という社員も少なくないレベルになる。
役職の有無でも各社員で差が出てくるが、管理職では年収1,000万円以上というケースもあり得る。
50代になるとやや下がる人も出てくるが、それでも総合職だと年収1,000万円前後が平均値になると推定。係長以下の社員でも800万円程度には達する。
実際のところは各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、これらが1つの目安になる。
とはいえ、基本的に総合職は「幹部候補」という位置づけ。JR九州グループのどんな職種よりも出世が速く、それに伴って昇給幅も大きく、年収の面で不満を持つ人は少ない。
技術系総合職
技術系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。原則として理系の学部学科を卒業した人が対象。
- 運輸(輸送、車両、運用、運行管理)
- 施設(土木、建築、機械)
- 電気(電力、信号通信、システム)
技術職においても年収は仕事内容ごとの違いはほとんどない。
専門職との違いは同様に全国転勤が存在する点である。
勤務地は専門職と混合する人も少なくはないが、異動の多さで異なる傾向がある。
列車の運行管理から技術開発、保守点検まで仕事内容は様々だが、年収の面では例外なく高い。プロフェッショナル職と比べても給料水準は特に高い。
大卒で入社間もない20代のうちは年収が350~400万円台で、他の大手企業と同じだが、経験を積むに連れて大きく上昇していく。
30代で年収500万円以上、40代からは年収600万円以上が相場。
管理職になれば年収1,000万円以上となる社員も総合職では目立つ。この点でも事務系・技術系のいずれも同じ。
各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるものの、上記の表が1つの目安になる。
専門職(現業職)
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 300-350万円 | 20-25万円 | 40-60万円 |
25-29歳 | 300-400万円 | 25-30万円 | 50-80万円 |
30-34歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | 60-100万円 |
35-39歳 | 450-600万円 | 30-40万円 | 70-120万円 |
40-44歳 | 500-650万円 | 35-45万円 | 100-150万円 |
45-49歳 | 550-700万円 | 40-50万円 | 100-150万円 |
50-54歳 | 600-800万円 | 40-50万円 | 100-200万円 |
55-59歳 | 600-800万円 | 40-55万円 | 100-150万円 |
専門職は新卒採用では大卒と高卒の両方がある。
総合職との違いは対象とする学歴の他に、転居を伴い転勤が原則ないこと、現場系の仕事内容が多い点が挙げられる。
他の鉄道会社では「現業職」と呼ばれているところもある。
昇進のスピードは総合職と比較すると遅い。JR九州の中では同じ正社員という形でも平均年収は専門職は低い。
大手企業としてもやや低い。首都圏や近畿地区のJR・私鉄と比べてもJR九州は給料面で劣っている。
普通の企業の一般職と同程度と捉えてよいだろう。
<参考資料:『鉄道統計年報』(国土交通省)>
駅・乗務員
JR九州をはじめとする鉄道会社の仕事内容として真っ先にイメージするのがこの「駅・乗務員」ではないか。
駅構内で働く駅員、列車乗務員である車掌・運転士はここに該当。
新幹線も在来線も接客に携わる社員はこの「駅・乗務員」コースに属する。
乗客と最も接する職種。総合職でも研修で業務を行うこともあるが、基本的にはプロフェッショナル職が主流。
深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容ということもあって、年収は他の大手企業に劣るまではいかない。
20代で400万円以下、30代で500万円台、40代と50代で600~700万円台が相場と判断。
一方で現場第一線が職場ということもあって体力・精神的にきついのも確か。
技術職
専門職の「技術」に該当する分野は以下の通り。
- 車両(車両保守など)
- 施設(土木・建設・建築・機械など)
- 電気(電気・信号通信・情報システムなど)
専門職の技術職は総合職の方と名前こそは似ているが、「駅務・車掌・運転士」と同じく鉄道運行の第一線で働く例が多い。
接客部門にこそは携わらないものの、電車の運行のための技術的な仕事を行う。
保線などの土木工事、車両のメンテナンスなどが一般的にイメージが付きやすいが、これに該当するのは技術職。
技術部門こそは総合職とプロフェッショナル職の両方ともにあるが、プロフェッショナル職はその中でも特に現場に近いところで仕事が中心。
部署によって事情が異なるものの、深夜勤務や早朝勤務などが多い仕事内容が主流ということもあって、これらの手当てがあることで給料が維持されているところも否定できない。
20代で400万円以下、30代で500万円台、40代と50代で600~700万円台が相場と判断。
技術系もまた給料水準が高い反面、現場第一線が職場ということもあって体力にきついと感じる人も少なくない。
大卒・高卒のいずれも採用があるが、給料水準はそれほど違いは見られない。
子会社は年収が低い
上記で取り上げたJR九州の年収の事情に関しては、グループ会社(子会社)は含まれない。
子会社の例として代表的な会社は以下の通り。
- 九鉄工業
- JR九州エンジニアリング
- 三軌建設
- 九州電気システム
- JR九州駅ビルホールディングス
- JR九州ホテルズ
- JR九州商事
- JR九州フードサービス
- JR九州エージェンシー
- JR九州システムソリューションズ
いずれも基本的にJR九州本体と比べるとさらに社員の給料水準は低い傾向が見られる。
平均年収の公式の金額は未公開となっているところが多数派だが、転職評判サイトなどを見ると差が読み取れる。
年収の相場の違いは、同年齢の平均値では100万円ほどは安いと推定される。
JR九州の専門職と同ランクかそれよりも低い。基本給こそは同じ水準でもボーナスや各種手当での違いが出てくる。
給料だけでなく、福利厚生の充実度でも劣る可能性が考えられる。
分類 | 会社名 |
---|---|
JR | JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、JR四国、JR北海道、JR貨物 |
大手私鉄 | 京浜急行電鉄、東急電鉄、相模鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、西武鉄道、東武鉄道、京成電鉄、 阪急電鉄、阪神電気鉄道、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電鉄、 名古屋鉄道、西日本鉄道 |
中小私鉄 | 首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、東京モノレール、新京成電鉄、北大阪急行電鉄、神戸電鉄、広島電鉄 |
地下鉄 | 東京メトロ、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪メトロ(Osaka Metro)、神戸市交通局 |
第三セクター鉄道 | <第三セクター鉄道全体> |
関連会社(車両、信号) | 日本信号、京三製作所、大同信号、日本車輌製造、近畿車輛、総合車両製作所、東洋電機製造 |
関連会社(建設) | 東鉄工業、鉄建建設、第一建設工業、日本リーテック、名工建設、日本電設工業、新生テクノス |
その他関連 | 鉄道情報システム、独立行政法人鉄道・運輸機構(JRTT) |
職種別 | 駅員、新幹線の運転士・車掌、電車(在来線)の運転士・車掌 |
ボーナス | <一覧表>鉄道会社のボーナスの支給額の実績 |
(業界全体) | <早見表>鉄道会社の平均年収を各社ごとに一覧化 |